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作画崩壊ヤシガニ事件まとめ

作画崩壊

なぜアニメ史に残る程の作画崩壊は起きたのか?未だに語られる伝説の作画崩壊ヤシガニ事件から十数年、動画と当時の状況をまとめました。

ヤシガニ事件とは、1998年4月24日に放映されたテレビアニメシリーズ 「ロスト・ユニバース」(1998年4月3日~9月25日 全26話/ テレビ東京系列) の第4話 「ヤシガニ屠る」の前代未聞のレベルの作画崩壊の事です。

「ヤシガニアニメ」 とは、1998年4月24日に放映されたテレビアニメシリーズ 「ロスト・ユニバース」(1998年4月3日~9月25日 全26話/ テレビ東京系列) の第4話 「ヤシガニ屠る」 があまりにもすごいデキだったので、それを由来、語源とした、極めてデキの悪い アニメ に対する罵倒的な表現です。 作画破綻の度合いを測る単位として、「1ヤシガニ」 なんて使い方をする場合もあります。

ちなみに私は1ヤシガニという単位を使っている人を聞いた事はありません。

第4話「ヤシガニ屠る」は、セル画パートの全編で破滅的な作画品質の動画をテレビ放送してしまうという破綻を来たし、全話制作終了後に大幅なリテイクが講じられる事態になった。

『ロスト・ユニバース』(LOST UNIVERSE)は、富士見ファンタジア文庫から刊行されている神坂一のライトノベル。また、これを原作とするアニメ、漫画作品である。

1998年4月3日から9月25日までテレビ東京系列で放送された。全26話。
主要キャラクターの声優に林原めぐみと、1995年から放送されていた同じく神坂一原作のテレビアニメ『スレイヤーズ』シリーズと同様の布陣であり、その商業的成功の延長線上に立ち上げられたメディアミックス企画である。
出典ロスト・ユニバース – Wikipedia

最初からかなり過酷なスケジュールだったようです

本作は放送開始当初から、オープニングアニメが未完成状態のまま放送されたり、随所に雑なデッサン・作画などが露呈しており、アニメ業界の内外から問題視・危惧視される状況にあった。

第4話放送の数日前に渡部監督の個人HPにこのような釈明が書き込まれました。

4話(ヤシガニ屠る)は私たちメインスタッフにとって全く不本意の結末を迎えてしまいました。
はっきり言って海外で捏造されたインチキフィルムを突きつけられたようなものです。
それを目の当たりにしたときのショックは多分一生忘れないでしょう。
オーケー、大丈夫と言う言葉とは裏腹に、見せ付けられたのはキャラデサや設定はことごとく無視され、作画監督も不在で、でたらめな崩れまくったキャラが原画のみで・・・動画が入ることなくパカパカとしているどうしょうもない未完成フィルムです。
無責任な言い方かもしれませんが、私の預かり知らないところで捏造されてしまったというのが事実です。
本来、監督チェック・総作画監督チェックが入るはずにもかかわらず私たちの存在をなし崩し的に無視されてしまった結果です。

原文は監督の個人HPの掲示板になります。現在は何も表示されません。

▼猫南蛮亭
http://www.t3.rim.or.jp/~nekonan/OP.HTM

もちろん100の叱責は受けます。覚悟を決めています。
ただ、全く手を加えることが出来ないまま「どうにもならないクズフィルム」を放映せざる得なくなってしまった現実は重く、局からも激しい叱責を受けました。それは監督として当然のことです。
ファンのみなさんには、本当に心からお詫びいたします。
まさか、アニメがロストの世界を汚してしまうとは・・・。
それを思うと悔し涙がこぼれます。
4話・・・そしてそれに続く5話はビデオ用に絶対に作り直すことを制作側に強く要求しています。それ以外に私たちの誠意を示す方法がありません。
官僚的なある一部は私の更迭もありとしていますが、私は逃げません。
かならず質とスケジュールを立て直すべく奮闘する覚悟です。
たとえ失脚しても居座り続ける覚悟です。

そして今、当初から逃げ腰態勢だった制作会社の姿勢をも含め激しく自己批判しています。グロスでまるまる下請けに投げ出すやり方に危惧こそいだいていましたが、まさかここまでになるとは誰も予想していませんでした。詐欺にあったようなものです。それでも逃げの姿勢が現状を招いたことは間違いありません。大きな過ちでした。
状況と自らの力量を見極め再スタートを期するつもりです。
そして、現場と制作の信頼関係をももう一度立て直すしかありません。
ファンのみなさん・・・こころからお詫びいたします。
本当に申し訳ありません。
消え入りそうなファイトですが、みなさんの応援があればまだまだ
がんばれます。どうかお許し下さい。

そして実際に放送された第4話 ヤシガニ屠るの動画

ヤシガニを見た人の反応

この時期は作画崩壊が頻繁に起きていて、それなりに話題にはなったものの十数年後まで語り継がれるとは思われてなかったと思います。

現存しているヤシガニの考察をいくつか紹介します。

上記のサイトから重要だと思われる部分を引用します。

1998年4月というと、ちょうど『新世紀エヴァンゲリオン』の大ヒットに触発された各社が、我先にと次から次へアニメの企画を立て、そしてテレビで放映していった時期です。
その結果、1週間で60~70本ものテレビアニメが放映されるという異常な事態に陥ってしまったのです。
1週間に30本程度が適正な数とされているだけに、これが如何に多いかが分かりますね。
いくら本数が増えても、アニメ制作に携わる方の数に限りがある以上、ある一定の本数を超えれば、後に待っているのは制作の遅れ、そして作画の破綻です。

○第2話“女神翔ぶ”
4話の問題に直結しているのが、この2話です。
この2話は、4話で問題となるリップルフィルムに下請けに出されており、返ってきたのは韓国の下請けスタジオSAN HO STUDIOで行われた作画監督不在によるノーチェックの原画・動画で、とても放送に耐えられる代物ではありませんでした。
そこで急遽、渡部監督や宮田さんなどメインスタッフが必死になって修正を行い、何とか放送できるレベルにまで持ち直したのです。
修正前の作画は、ほとんど4話と同レベルだったそうです。
しかし、これが製作上層部には納品スケジュールを考えずクオリティアップのために修正しているように見えたようで、これ以上納品スケジュールを圧迫されたのでは堪らないと、次々回の4話は監督や作画監督によるチェックにかかる時間を短縮するため(と言うか、監督や作画監督に修正させないようにするため)、原画・動画を丸ごとノーチェックのまま、2話と同じリップルフィルムに丸投げしてしまったのです。
どうやら製作上層部は、2話においてリップルフィルムが行った詐欺的な行為を全く知らなかったようです。

2話の出来も相当のものだったようで、ギリギリまでリテイクをして直した結果納品が遅れた事を上層部が問題視した結果4話はリテイクしないで放送されたようです。

○第4話“ヤシガニ屠る”
(中略)
日本側のメインスタッフは、この4話も総がかりで修正を行おうとしていたようですが、納品期限を重視する製作上層部によって、勝手に韓国のSAN HO STUDIOで原画・動画・仕上げまで全ての作業を行われてしまい、メインスタッフの元に戻ってきた時には既にセルとして完成された状態だったため、2話とは違って修正することすらできませんでした。
日本側に引き上げた一部カットのみ、日本で作画監督を立ててどうにかしたようですが、SAN HO STUDIOで作画されたものはダメダメの原画だけがどうにかできているというレベルで、動画がほとんどないという最悪の状態です。
(中略)
これは、テレビ東京側から“納品が遅れれば打ち切りもあり得る”と言われていたことで、上層部のメンツや会社の信用問題ということも絡んでいたのでしょう。

「ロスト・ユニバース」は、資料によれば制作に入ったのが1998年1月中旬ということで、準備期間はたった2ヶ月半しかなかった。
(中略)
これは渡部監督自身にも責任があり、「監督の決定が降りない」という理由で、制作開始のギリギリのタイムリミットである放映1ヶ月前になっても、問題となった4話のキャラ設定・メカ設定・美術設定が仕上がっておらず、絵コンテが全く描けない状態に陥っていた。

下請けスタジオだけが悪いのではなく、全体的な遅れと納品優先の上層部という事情があったのでしょうか。

良かった部分も

オープニング・エンディングのみにCGを使っていた、当時としては画期的なものだった。CGパートはDoGAが手がけた。

本編では、従来のセルアニメと当時アニメ業界で導入が進められつつあったデジタルアニメとを、シーンに応じて使い分ける方法が採用された。

最後に

今回思い立って残っていたネットからの情報のみを調べてみましたが、読んでて胃が痛くなりそうな修羅場があったのだろうという事と、アニメバブルの大変な時期だったからこそ起きた事件だったのかと思います。

ちなみに2002年ごろの2chのスレにはすでに■ヤシガニ厨■ という言葉があってもう10年同じ事を繰り返しているんだなと思いました。



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