とても漢字には見えないのに、実は「部首」も「画数」も「読み」も持つ漢字だった…そんな文字たちを紹介します。
〆
「〆」は漢字です。
「〆切り(しめきり)」などで用いられる「〆」という字は、苗字や地名にも用いられている立派な漢字です。
部首は「ノ」で、画数は2だ。
「ノ部(へつぶ)」を部首に持つ漢字は、他に「乃」「久」「及」「乏」「乗」など。
但し、「漢字」とは言っても国字(コクジ)つまり「漢字にならって日本で作られた文字」ということになっていますので、音読みはなく、「しめ」という訓読みしかありません。
漢字とはいえ、中国でもともと使われていたものではなく、日本独自の文字(国字)です。
珍しいことに、コンピュータ用の文字コードである Unicode にはこの漢字が2箇所に登録されています。
なぜそうなっているのかと言えば、この字が当初はただの記号扱いであったため、最初は記号として登録されていたのに、後に漢字として認められたことから改めて漢字として別の形の文字が再登録されるという経緯があったからです。
乂
漢和辞典をひもとくと、「乂」という字がある。音読みで「ガイ」、訓読みで「おさめる」だ。
訓は「かる」「おさめる」で、そのうちの「る」「める」を送り仮名にします。
「乂る」「乂める」
丫
アルファベットの「Y」に似ていますが、こちらもれっきとした漢字。
二又の枝やあげまきを表す漢字である。アルファベットのYとは無関係。
あげまき(総角)は童子の髪型の一種で、髪を左右で分けて耳の上あたりに髷を結ったもののこと。
香港の「南丫島(ラマとう)」という島の名前に使われています。
凹、凸
一見、記号かとも思える「凹」と「凸」ですが、れっきとした漢字です。
常用漢字なので、これは漢字だと知っている人は多いはず。
あなたは書き順まで正確に覚えていますか?
凸凹は「でこぼこ」、凹凸は「おうとつ」。
順番を入れ替えると、訓読みと音読みが入れ替わってしまいます。
「凸」はトツ、でこ。
「凹」はオウ、ぼこ。
見た目そのまんまなので分かりやすいです。
入射した平行光束を収束させる働きを持つものを凸レンズ、発散させるものを凹レンズという。
なんとなく「凸凹」「凹凸」以外の使い道がなさそうですが、ちゃんと独立した使い方もあります。
〇
『新漢英字典』が「「〇」は「マル」と「レイ」という「音読み」と「訓読み」があるから「漢字」だ」と言っています。
漢数字の「〇」。漢字だ、という説とそうではない、という説があるようです。
部首は「くにがまえ」で、画数は1。
引用元は日本漢字能力検定のホームページ。ご丁寧に部首の画数の解説も載っていました。
漢検が認めているなら漢字なのではないでしょうか。
Googleの検索では一般の記号は無視されますが、「〇」は記号ではなく漢字の一部として扱われます。
Google先生も漢字と認定しているようです。
廿
部首:十
画数:4画
音読み:ジュウ
訓読み:にじゅう
「十」という漢字は数の10を表しますね。
そして「廿」は20を表す漢字です。
「十」は縦棒が1本だけど、「廿」は縦棒が2本。
ちゃんと「にじゅう」で変換できる漢字です。
「廿(20)」の異体字に「卄(U+5344)」がある。
「卄」は「十」をくっつけたような字形なので分かりやすいですよね。
丗
「十」を3つ重ねたものだから、丗は「三十」の意味。
ちゃんと「さんじゅう」で変換できる。すごい。
卌
卍
これも正真正銘の漢字であり、音読みも訓読みもちゃんとあります。
音読み : 「マン」、「バン」
訓読み : 「まんじ」
「まんじ」という読み方は有名ですよね。
総画数は6画です。
上の横線、真ん中の横線、真ん中の縦線、右上の縦線、左下の縦線、右下の横線 の順に書くのが正解。
少し書き方を間違えると世界的なタブー「ナチスの鉤十字」になってしまうので要注意!
武則天の長寿 2 年(693年)、「卍」を「萬」と読むことが定められた。吉祥万徳の集まる所の意味である。これにより卍が漢字として使われることにもなったが、熟語(卍巴・卍果など)は少ない。
「卍」は歴史の長い漢字ですが、熟語は少ないようです。
▽ 一方、実は漢字ではない「々」
々は漢字ではなくて漢字を繰り返す場合に使う記号です。
「人々」「各々」「佐々木」など漢字に混ざってよく使われるため、漢字だと思われがちですがただの記号です。
「々」は踊り字と呼ばれる記号の一つなので、漢字としての読み方はありません。
記号なので訓読みも音読みもありません。
新聞、出版業界ではノマと呼ばれています。