お茶は健康志向や簡便性志向の高まりを背景に、緑茶飲料を中心に増加傾向にあります。お茶を飲む度に出てしまう「茶ガラ」。抗菌作用・消臭作用もあり、再利用は出来ないでしょうか。古くなった茶葉や茶がらを再利用した昔ながらの生活の知恵が数多く残っています。
▼お茶をおいしく飲んだ後は
お茶は急須などでお湯をいれて成分を抽出させたものを飲料とします。その結果お湯に浸された後には出がらしと言われる余りの茶葉が残ります。
日常生活での茶殻利用は、決して新しい発見ではありません。 今も昔も愛用されているのはなぜでしょうか?それは、お茶が日本人の生活に馴染み深く、安心できる素材であること、そして効果があること
お茶の成分「カテキン」には、抗菌・消臭作用があることが確認されています。 身近な生活の中で、「カテキン」効果を期待したお茶の利用といえば、どんな方法が思い浮かびますか?
▼茶殻はしっかり乾燥させ、衛生的に
伊藤園広報部の森本美津子さんに尋ねると「たんぱく質を含むため、茶殻は早く腐りやすい」という。
出し殻を、水をよく切ってから、新聞紙の上に広げます。ザルや網状のものの上でも結構です。もし、乾燥を早めたければ、茶殻を電子レンジで数十秒ほど加熱しておくのがよいでしょう。
▼気になる部分の臭い消しに
ガーゼ ストッキングなどにくるんで冷蔵庫 下駄箱 靴の中 押入 戸棚 衣装ケースなどに入れておきましょう。茶葉が乾燥剤、脱臭剤の役目をしてくれます。
綺麗な袋やガラスの容器にいれて、玄関 トイレ ペットの臭いの気になる部屋などに飾っておくと、おしゃれなインテリアにもなります。
▼下駄箱や靴の消臭に
消臭効果もあるので乾燥させて茶殻をパックにいれて靴の中や下駄箱に入れれば 嫌な臭いもすっきり消えます。
十分に乾燥させた茶殻のはいった小袋を、1日履いた靴の中に入れておくと、乾燥・脱臭効果が期待できます。
毎日出る茶がらを干して、少しずつストッキングや靴下に詰めて、貯めていきましょう。足と同じような細長い形にまとめれば、ブーツの型崩れ防止にも役立ちます。なお、靴下よりはストッキングがおすすめです。
▼冷蔵庫の中の消臭に
冷蔵庫のニオイが気になる方は、コップに茶葉を入れて冷蔵庫に置いてみてください。冷蔵庫はものの出し入れが頻繁ですので、コップを倒してしまわないように注意してくださいね。
できるだけ水分を絞って器に入れたまま、蓋をしないで冷蔵庫に入れておくだけです。1週間くらいで交換してやると、臭いは気になりませんよ。
▼台所用品の消臭や殺菌に
生魚や生肉を調理した後のキッチンは、なんとなく臭いますよね。そこで、日本茶の成分に含まれる防臭効果と殺菌作用を利用してみましょう。
とくに魚臭さの抜けないまな板や包丁などは、緑茶の茶汁で洗うか、ガーゼなどに包んだ茶がらで拭き取ると、だいぶ臭いが消え、殺菌効果も期待できます。
お鍋についてしまったにおいも、お鍋に水と茶殻を入れて10分ほど煮るだけでスッキリと洗い流すことができます。
▼魚焼グリルの殺菌に
魚焼きグリルの受け皿に茶殻やコーヒーかすを入れて使用している。「魚の油分を茶殻やコーヒーかすが吸って、ほとんど洗剤を使わず受け皿がきれいになる」。掃除する手間も省けて一石二鳥
魚グリルの汚れは温めることによって落ちやすくなる。また、グリルの臭いが気になるときは、熱いうちに紅茶やほうじ茶をまけば、イヤな臭いを消してくれる。
▼シンクの殺菌に
流しの嫌な臭いには茶殻がおすすめ。茶殻を、排水口のまわりにふりかけて、スポンジでこするだけ。一番効果的なのはウーロン茶だが、日本茶や紅茶でも十分効果を発揮する。
飲み終わった後のお茶の茶殻を、三角コーナー・生ごみ入れに振りかけていれれば、いやな臭いの元を取り去ってくれます。生ごみの腐りやすい夏場には、特にお勧めです。
▼食器洗いなどに
使い終わったお茶っ葉は、お茶パックにいれて、食器洗いに利用できます。そのままお皿をごしごしすれば軽い油汚れが落とせるのと、殺菌効果も◎。
茶殻をテイーパックなどに入れスポンジ代わりに使うと洗剤を使わなくてもきれいに落とせます。
他にも、湿った茶がらをガーゼに包み鉄瓶など錆びやすいものを拭くことで、錆びを防ぐ効果もあります。
▼茶殻で畳や床などをお掃除
生乾きの茶葉を畳の上や床の上にまき、ほうきで茶殻を集めるように掃くと茶殻の湿り気が砂埃や埃を抑えられます。またゴミも取りやすくなる上、部屋の殺菌・消臭効果にも効き目がある
お茶に含まれているカテキンの「吸着性」「抗菌・殺菌作用」のおかげで、お茶の葉と一緒に埃やゴミがスッキリと取れます。後は、乾いた雑巾で乾拭きして畳の水分を飛ばしましょう。
湿った茶ガラが畳の目に入り込んだ汚れやゴミまで吸着するので、掃いた後はスッキリ。茶ガラを撒けばホコリもたちにくいので、玄関や土間のお掃除にも!
カーペットなどは乾燥させた茶殻をまいて、掃除機で吸い取ると、カーペットの間に挟まっているゴミが茶殻と一緒にとれやすくなります。
フローリングのように汚れが目立ちやすいところの拭き掃除にも、茶殻で煮出した水で水拭きをすることでピカピカ。
▼ところで、伊藤園の緑茶『お~いお茶』の茶殻は?
日本茶飲料「お~いお茶」は、急須で入れるお茶と同様に茶葉を抽出して製造しているため、製造後には茶殻が排出されます。
伊藤園の茶飲料の製造工程からは、年間約49,000トンの茶殻が発生するが、これは、名古屋市の一か月のごみ処理量に相当する。
看板商品の緑茶飲料「お~いお茶」の売り上げ拡大に伴い茶殻が増加。これを有効活用できないかと考えたのが始まりだった。
▼腐敗しやすい茶殻を乾燥させずにリサイクル
紙、ボード、樹脂、建材などへ、茶殻を乾燥させる工程を経ることなく、リサイクルしている。
茶殻を乾燥させることは確かに有効ですが、調べてみると茶殻10tの乾燥に約500ℓの灯油を使用し、それにともなう二酸化炭素排出量は約1.3t。これでは何のためのリサイクルなのか分かりませんし、コストもバカにならない。
水分を含んだ茶殻を乾燥させるにはどうしてもエネルギーを使ってしまうので、佐藤さんたちは、含水のまま=生のまま保存する方法を研究することに尽力し、とうとう開発に成功する。
▼伊藤園独自の「茶殻リサイクルシステム」を開発
一畳に「お~いお茶」の500mlペットボトル約600本分の茶殻が含まれています。また、茶殻の有効活用、木材の使用量削減といった点で環境に配慮した製品であるとして、 「茶配合ボード」は、2002年9月にエコマーク製品として認定されました。
2000年より、10年、20年先の未来を見据えた、新たなリサイクル方法の研究をスタートさせ、独自の「茶殻リサイクルシステム」を開発。
出典さらり畳 (おーいお茶の伊藤園と畳材料商社・北一商店の共同開発)|日本国産畳専門の「畳屋くまちゃん」熊木畳本店です。埼玉県川口市から、東京23区と埼玉県南東部を中心に対応しております。
伊藤園の茶殻リサイクルシステムの開発担当である佐藤崇紀さんは、幼い頃のよき思い出から、茶殻と畳の組み合わせを思いついた。
第1弾商品であるお茶入り畳「さらり畳」の投入から10年が経過。
畳の専門商社・株式会社北一商店と共同で開発した「お茶入り畳(さらり畳)」は、「茶配合ボード」を畳床に活用しています。緑茶成分の働きによる消臭性などにより、快適な住まいを創造していきます。
▼現在、茶殻リサイクル商品は100種類!
提携企業と強度を確保した公園ベンチも製作
商品アイテムは約50種類、タイプの違いなどを含めると100種類で、封筒、カレンダー、ペン、公園ベンチなど多岐にわたる。
「お茶入りダンボール」
段ボールに茶殻を配合することで、紙資源の使用量を削減しています
特に、レンゴーと共同開発した茶殻入り段ボール箱は、「お~いお茶」500ミリリットル24本を入れる段ボールの年間使用量、約2,500万ケースにのぼる。
茶殻を配合した伊藤園の名刺
100枚(1ケース)で緑茶飲料「お~いお茶」500mlPET 1本分の茶殻を配合しているという。
茶殻リサイクル製品は、社員全員が使用する名刺や封筒、自動販売機や空き容器回収ボックスなど、社内でも活用を推進しています。