郵政省から公社への移行を経て、2007年に完全民営化した郵便局。しかし景気は全くよくならず、郵便料金の値上げやサービス低下が相次いでいます。2016年にはブラック企業大賞で2冠を獲得してしまうという不名誉も。果たして民営化は正しかったのでしょうか?
民営化選挙では小泉政権が圧勝。しかし、投票した有権者はある文言に騙されていた・・・
郵便局は、国営時代税金の補てんは一切受けずに独立採算制で運営していたことは意外に知られていません。
公務員を削減しますよというのが小泉政権のときのスローガンだったでしょ。郵便局の人たちそれまでみんな国家公務員でした。郵便局を全部民営化すると、24万人の国家公務員の数を減らすことができるんですよ。で、郵政選挙、衆議院選挙のときに、郵便局を民営化すれば公務員を24万人減らすことができるんですと演説していました。たしかに24万人減るんですが、郵便局は全部独立採算制だったんですね。だから、郵便局の人の24万人が国家公務員でなくなったからといって、その国家公務員に支払われる給料を減らすことができたわけではないんですよ。もともと郵便局の国家公務員は税金から払われていなかったんですよ。
池上彰氏による説明です。ほとんどの有権者が、公務員の人件費の分税金の支出が減ると思い込んで投票していたのではないでしょうか。実際は、郵便局の人件費は一円も税金は使われていませんでした。
郵便局は民間企業になったことで国に法人税を納めるようにはなりましたが、国営の時から利益余剰金を国に納めていました。
そして、郵政民営化で変わったことで「税収の増加」とありました。これはメリットのように見えます。確かに株式会社になって税金を納めるようになりましたが、それ以前は利益余剰金は国に収めていました。つまり、郵政公社の利益剰余金は実質的にすべて政府のものだったわけですが、民営化されると納税した分しか政府のものにならないんですね。
しかも、民営化して株式上場すれば、株主に利益を分配せねばなりません。本当に国の財源が郵便局民営化によって潤ったのでしょうか。
そもそも郵政民営化はアメリカからの要望だった。
アメリカからの要望が決定打になったことは否めません。
1990年代初頭から、郵政民営化論に米国の保険業界や経済団体と、米国政府が毎年、規制緩和要求や保険協議などで郵貯・簡保の廃止、民営化の要求を日本政府に一方的に突きつけ始めた。平成16年9月22日の日米首脳会談でブッシュ大統領自身が直接、小泉首相に郵政民営化が進んでいるかと確認したほど米国側は熱心であった[3][4]。
「郵政民営化」というのは、当時、郵便貯金の100兆円以上の貯蓄残高を アメリカ、ウオールストリートの金融業者が、自由に運用できるようにする、というのが本当の目的でした。
日本の経済を立て直して郵便局を良くするためというよりは、アメリカの財政のためだったと言っても過言ではないかもしれません。また、アメリカは信書を扱う郵便事業より、ゆうちょの利益の運用が目的だったようです。
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要望してきたアメリカは、自国の郵便局は民営化していない・・・
よって信書を扱う郵政事業は民営化していないというわけです。最近はメールなどの利用者が増え、アメリカの郵便事業も業績がかなり悪化している模様。しかし国営なのでやっていけるのです。
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民営化後、郵便局のサービスは全体としては良くなっていない
・不採算郵便局の統廃合
・郵便配達の遅れや集荷サービスの低下
・各種料金や手数料の値上げ
・窓口サービスの低下
出典市区町村と郵便局の連携に関するアンケート調査
小泉政権は郵便局の数は減らさないと公言していましたが、実際には簡易郵便局などの統廃合が行われ、郵便局の数は減っています。窓口で文房具や雑貨を販売するという民営化らしいサービスは増えましたが、料金の値上げや配達日数が遅くなった、希望時間に集荷を頼めないなどの苦情や、集配特定局が地域住民を支えていた地方などでは、分社化したことにより配達員に貯金や保険業務に関する用事を頼めなくなるなど不便な点が出ています。
顧客だけではなく、社員も働きづらくなっている
ノルマは年賀状だけではありません。「ふるさと小包」や「記念切手」など1年中ノルマに追いまくられてます。私も義理で「ふるさと小包」を発注しますが、膨大なノルマの前では焼け石に水のようです。正社員だけでなく契約社員やバイトも押し付けられるそうです。
管理職の自爆分は年間数十万におよぶと聞きました。
国営時代にも販売ノルマは存在していたものの、民営化後ほど社員への強制はなく、非正規社員に対しては国営時代には販売ノルマはなかったようです。今では外務のみならず内務のパートやアルバイト社員にもノルマが暗黙で強要されています。
なんだかんだで、日本郵便の社員の多くは、1年で10万円単位の自爆をしているのだ。
日本郵便本社は自爆営業の強要はしていないと否定し、お立ち台については該当郵便局に辞めるよう指示を出しているようですが、目標値という名目のノルマは存在し、達成できないとやる気がないとみなされたり、恫喝を受ける実態は存在しており、それが嫌で自腹を切ってしまう社員は多いようです。元々採算が取れない、必要なインフラのため、郵便事業については民営化すべきだったのか疑問なところです。
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日本郵便が特別賞とWEB投票賞の二冠を獲得してしまった。
ノルマの強要は保険にも不適正営業の常態化をもたらしてしまった
主にお年寄りを相手にした、「顧客に不利益な乗り換え」販売が発覚。契約内容がよくわからいまま、郵便局というブランドを信じて契約した人たちからは怒りの声が。
これも、顧客のニーズへの対応力の甘さと、ノルマの強要による窓口や渉外員の心理的圧迫という、個人というより組織の問題を感じる。このような問題が浮き彫りになったのが民営化以降というのも、果たして民営化してよかったのか疑問なところ。
かんぽ生命保険が、顧客に不利益となるような保険の乗り換え契約を繰り返していた問
一方で巨額の負債が・・・
日本郵便本社のある日本郵政ビル(「Wikipedia」より/Ons) 日本郵便はインターネット通販業者向けの決済子会社、日本郵便ファイナンスをIT(情報技術)…(1/2)
日本郵政が民営化以来最大の危機を迎えた。オーストラリアの物流子会社の不振で3000億~4000億円規模の減損処理を計上する方向で検討している。最終利益は3200億円の予想から赤字に転落する恐れもある。海外企業の買収失敗で巨額損失を抱える事態に、市場では「第2の東芝にならないのか」との懸念も広がっている。
日本国内で、あまねく公平に展開されていればよかったはずの郵便事業。本当に民営化してよかったのでしょうか?独立採算制で、税金の補てんを一切受けずに国営を保ってきた郵便局ですが、民営化により、今後赤字を補てんするために逆に税金が投入されてしまう恐れがないか懸念されます。