交通事故を起こした後、被害者を自宅に送り届けた介護士の男が、ひき逃げの疑いで逮捕されました。一体なにがあったのか。車に同乗していた女性が当時の状況を語りました。
「事故を起こし相手を自宅に送り届けた。様子を見に来たが、意識と呼吸がない」
埼玉県川口市の東谷靖男さん（78）が住むアパートから、こう通報があったのは今月6日の午後11時ごろ。駆けつけた警察官が寝室で死亡している東谷さんを発見。死因は頭部の外傷でした。
東谷さんを知る人
「結婚していない。ずっと独り者」
通報したのは、介護士の小出遊輝容疑者（32）。
記者
「小出容疑者の運転する車はこちらのT字路を右折したあと、向こう側から横断歩道を渡ってきた東谷さんと衝突しました」
通報のおよそ14時間前、小出容疑者は東谷さんを車ではねる事故を起こしていました。
一体何があったのか？一部始終を目撃していた女性が取材に応じました。
後部座席に乗っていた女性
「（事故を起こした）その車で迎えにくるわけ」
小出容疑者の勤務先のデイサービスを利用する88歳の女性。事故当日はデイサービスに向かうため、迎えに来た小出容疑者の車の後部座席左側に乗っていました。
警察によりますと、車が右折した際、東谷さんに接触したといいますが…
後部座席に乗っていた女性
「ぶつかったというか、かすった感じ」
このあと、小出容疑者は車を降りて、倒れていた東谷さんを起こし、車の後部座席に乗せました。東谷さんは意識があり、「自宅が近いので送ってくれ」と話したと言います。
後部座席に乗っていた女性
「小出さんが一生懸命『大丈夫大丈夫か？』聞いていた。（東谷さんは）うんうんと言っていた。そのうちに眠くなっちゃったらしい」
東谷さんを自宅に送り届けた小出容疑者。その後…
小出容疑者
「東谷さんが心配だったので、様子をみるために戻った」
夜になって再び自宅を訪ね、亡くなっている東谷さんを見つけ、通報したのです。
事故後、逃げずに被害者を自宅に送り届けていた小出容疑者。しかし、警察は過失運転致死と「ひき逃げ」の容疑で逮捕しました。なぜなのでしょう。専門家は…
交通事故に詳しい 高山俊吉弁護士
「送り届けて、そこで、さようならということにしてしまったのは救護不足。医療機関に確実に届けること、そして、警察にも速やかに報告をすること」
道路交通法では交通事故があった際には、「直ち」に負傷者を救護し、警察に報告しなければならないと定められています。
小出容疑者は「東谷さんが『転んだだけ』と言っていたので通報しなかった」と容疑を否認しています。
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