言葉や態度などにより人格や尊厳を傷付けたり精神的に追い詰めるなど、職場で陰湿に行われる精神的ないじめや嫌がらせが職場のモラハラです。精神的に追い込むためうつ病など精神疾患を発症させる危険もあり、被害者が職場を辞めざるを得ない状況に陥るなど問題となっています。
■職場のモラハラ
モラハラやパワハラ、セクハラなど、職場ではさまざまなハラスメントが社会問題となっています。このハラスメントのなかでもセクハラはたやすく区別がつきますが、モラハラとパワハラの境界線はとても微妙です。
職場のモラハラとは、言葉や態度などにより人格や尊厳を傷付けたり精神的に追い詰めるなど、静かにかつ陰湿に行われる精神的ないじめや嫌がらせです。また、職場のモラハラは業務上指導と区別がつきにくい上で必要に繰り返されるため、職場の雰囲気を悪くしたり、被害者が職場を辞めざるを得ない状況に追い込んだりします。
退職を促したり、必要以上に叱責してきたり、はたまた無視してきたり。実際にモラハラはどんなことが当てはまるのか調べてみました。
モラハラが刑事事件に繋がるケースもあります。あなたが職場で精神的に辛いと感じている場合、上司や同僚からのモラハラが原因かも知れません。
パワハラとの違い
パワハラとモラハラの違いは、加害者に「職権」があるか無いかです。
職場での立場や権限を持つ人からのいやがらせを「パワハラ」といい、それ以外の人からのものを「モラハラ」と分類しています。
同僚同士、先輩から後輩、逆に後輩から先輩へのモラハラ、部下から上司へのモラハラも起こり得るのです。
■職場のモラハラの特徴
陰湿に繰り返し、執拗な嫌がらせをして職場で孤立させるのが特徴です。
◇認識しづらいことも特徴
モラル・ハラスメントとは、陰湿な言葉、態度、文書などのよって、継続的に人格や尊厳を傷つける精神的ないじめ・いやがらせです。
ひとつひとつの行為は一見些細なことであり、また、その行為が教育的指導などと区別がつきづらくいため、それが、「ハラスメント(=精神的いじめ・いやがらせ)」だと、本人も、また周囲も、なかなか認識しづらいことが、特徴といえます。
暴言
職場いじめの”作為的ないじめ”に分類されるものとしては、「バ〇」や「ア〇」などといった暴言が代表的ですが、名誉棄損的な言動(たとえば「デ〇」「〇ゲ」「チ〇」「ブ〇」など)も”職場いじめ”として判断されるでしょう。
具体的にどのような暴言が職場いじめとなるかは、その暴言等を発する側と受ける側の関係性や暴言等の頻度などケースバイケースで異なると思いますが、暴言を受ける側の労働者が精神的圧迫を受けるような暴言は全て「職場いじめ」と判断される可能性がありますから、社会の一般常識に照らしてその暴言を受ける側の人間が精神的に傷つくような言葉はすべて「職場いじめ」に該当すると思った方がよいでしょう。
職場で仕事を進めるには、スタッフ同士における円滑なコミュニケーションが求められます。しかし、職場におけるモラハラでは「話しかけられても全く聞こえないふりをする。」とか「コミュニケーションに参加しようとすると露骨に断られる。」など、無視や仲間はずれといった嫌がらせが繰り返されます。こんなことが毎日のように続けば、誰もが孤立感に悩まされることになります。
否定される
意見を全く聞いてもらえず、頭ごなしに否定されます。反論すると、大きな声で威圧してきたり自分の主張を押し付けてきたりも…。
「新人だから自分が悪いのかも」と思ってしまう場合も多く発覚しにくいケースです。注意深く、何を、どんな風に否定するか、客観して見てみましょう。
また、仲の良い同僚などがいれば、理不尽な否定かどうか確認してみるのもいいでしょう。
無視をされるということは、もしかしたら一番辛い事かもしれません。職場は学校ではない、お給料を貰う為に甘えたことは言ってられない!という厳しい意見もありますが、このような扱いを受けたら誰だって気にするし傷つきますね。
明らかに聞こえている声や、見えている存在を、いないかのように振舞うことは列記としたモラハラです!
退職を促す
肉体労働や、職務内容から身体を気遣って出る発言もありますが、中には「前例がないから…」という理由で退職を促す場合もあるようです。なかなか理解してもらうのが難しい環境もあります。
また、真っ向から「役に立たないから退職しろ!」という上司もいます。信じられませんが、いるのです。
仕事を異常なほど増やされる
まだ仕事が終わっていないのに、わざと次々と自分にだけ仕事を割り振ってきたり、明らかに他の人よりも厳しく接しられることもあります。
そして物理的にこなせない仕事量にも関わらず、その作業の遅れを指摘してくる等、どんどん精神的に追い込んできます。
仕事を制限される
やる気もあり、能力もあるのに、極端に仕事量を減らされたり、雑務ばかりやらされるケースです。
または、何かを提案したり、10求められて11で返したら怒鳴られるような場合もあります。仕事に対する意欲を失わせ、労働の喜びを奪うモラハラです。
■職場でのモラハラ5タイプ
職場での精神攻撃モラハラ
「精神攻撃モラハラ」は、相手の非難できるポイントを見つけ執拗に責め立てるモラハラです。職場で精神攻撃モラハラの加害者は、非難を浴びせることによってもモラハラ被害者の自信を奪い、自分の方が優れているということを主張しています。
職場での人間関係切り離しモラハラ
「人間関係切り離しモラハラ」は、職場の他の人が参加している飲み会に一人だけ誘わない、会議の資料を一人だけ回さないなどの仲間はずれをして相手を追い詰めるモラハラです。
人間関係切り離しモラハラは、仲間はずれをすることによってモラハラ被害者を追い詰めるだけでなく、同じ職場で働いている周囲の人に「俺に逆らったらこうなる」と見せしめ行為を行うことで自分が影響力のある人間であることを主張しています。
職場環境悪化型モラハラ
「職場環境悪化型モラハラ」は、モラハラ被害者を攻撃したり、大きな音を立てるなどの威嚇行為を行うことで職場環境を悪化させるモラハラです。職場環境悪化型モラハラは、先の項目にあった人間関係切り離しモラハラと同じように、見せしめ行為をすることで自分の思い通りになるよう周囲の人をコントロールしたがります。
自分が周囲をコントロールすることで自分は正しい、自分が優れているということを主張しています。
出典職場でモラハラに悩んだ時に読む6つのモラハラ攻略方法 | あなたの弁護士
仕事妨害モラハラ
仕事妨害モラハラは仕事を与えない、または、必要以上の仕事を与えるというモラハラです。モラハラ被害者の仕事を奪って精神的に追い詰めていくタイプと、モラハラ被害者に終わりそうにない量の仕事を与えて肉体的に追い詰めていくタイプがあります。仕事を奪ったり、大量に押し付けたりすることでモラハラ被害者は自分の業務に専念できなくなります。
これらのモラハラは、「追い込み型モラハラ」とも言われており、モラハラ被害者は精神的にも肉体的にも限界に到達して、退職に追い込まれてしまうということがあります。
公私混合のプライベート干渉モラハラ
プライベート環境モラハラは、仕事(業務)に関係のないことを持ち出して叱責したり、恋愛や私生活に必要以上に立ち入るモラハラです。プライベート環境モラハラの加害者は、職場の同僚や部下の私生活を含めた全てを把握することで、コントロールしようとします。
■モラハラとは上司や部下などの力関係で起こることが多い
職場で言うと、上司と部下の関係でモラハラが起こる事が多く、初めは優しくただ言われる事も指導されている、注意を受けたという事から始まったのが、気がついたら支配されているかのごとく、上司には逆らえない、上司の言う事は絶対!になっています。
そうなると、ビクビクしながら顔色を伺う毎日が始まるのです。
タチの悪い事に、モラハラをする上司は自分がモラハラしている事に気が付いてはいません
モラハラ上司になるタイプ
自分に自信がある。会社でもそれなりの実績がある。
•見た目は誠実そのもの。エリート感、出来る上司というイメージが強い。
•理屈っぽい所があり、手こそはあげないが、自分の思い通りにいかなくなるとすぐに不機嫌になる。
基本嘘つきで俳優気質があり、悪いと思っていなくてもその場だけで平気で謝る事くらい出来る
■モラハラは職場の女性がターゲットになりやすい
職場で「優秀」だと認められている女子ほど、モラハラ被害に遭いやすい特徴があります。なぜなら自己愛が強いモラハラ加害者から見れば、自分よりも優秀だと認められている人間がいることそのものが認めづらく、また許せないことだからです。
どうしても女性がモラハラの対象になってしまいがちです。その女性の中でも、能力が高い女性であったり、自分の意見を強く言えない女性はモラハラ被害に合う率が高くなってしまいます。
女性に加えて、男性でも新人であったりする場合も同じようですね。
この場合はやはり自分を強く持って、言うべき時は言うという姿勢がモラハラ予防には大切だと言えるでしょう。
■モラハラ被害のターゲットになりやすい人
•人を信じやすく周りの事ばかり考えて行動してしまう。
•たとえ自分が悪くなくても、とりあえずすみませんが出る。
•何か悩み、トラブルが起きてもぐっと飲み込み我慢してしまう。
•外見は割と地味で目立たない。
■モラハラはパワハラとして相談する
近年では、職場でのパワハラが問題視されており、厚生労働省も職場のパワハラを防止するために企業にさまざまなことを義務付けています。パワハラとは、職場上優位な立場の人が業務の適正な範囲を超えて相手に精神的・肉体的苦痛を与えたり、相手の職場環境を悪化させたりするハラスメントのことを指します。
職場上優位な立場とは、上司・部下の関係性だけではなく同僚間でも成立します。ハラスメントをされて、言い返したり抵抗しても問題が収まらない場合は、相手によって優位な立場にあるといえます。モラハラも突き詰めて言ってしまうと、パワハラにあたるのです。
■モラハラを受けたら社外の人に相談
モラハラらしきいじめを受けているのなら、必ず誰かに相談をして欲しいと思います。一人でうつうつと悩んでいると、考えが煮詰まります。
さらに「自分が悪い」「できることは何もない」など、悲観的になっていきます。
しかし前述のとおり社内の人は避けた方が無難ですから、社外の友人やカウンセラー、自治体の労働相談員などに相談してください。
もしかして、自分の受けている行為はモラハラかもしれない。でも、そうではないかもしれない、と悩んでいるのであれば、外部の人の冷静な意見を聞いてみましょう。
■モラハラらしき言動をされたら、できるだけその事実を記録
いつ、誰が、どこで、何を言ったか(したか)。それを、なるべくあなたの感情を省いて記録に残します。
日記帳などに記録しても良いです。あるいはボイスレコーダーを用意するのも一つの方法です。
その記録をあとから読み返してみると、「これは、完全に嫌がらせだ」「このように言われるほど、自分は悪いことはしていない」「あまりにもひどい」と、冷静に判断することができます。
被害に遭っているとどれだけひどい行為であっても「慣れ」によって感覚が鈍くなってしまうものです。「このくらいは我慢しなければ」と思い続けているうちに、被害はどんどん深刻化します。
それが、証拠を残して後から振り返ると、事の重大さにはっと気が付くことがあります。
また、外部の人に相談するときには、この証拠を一緒に確認するようにしてください。
外部の人の冷静な目から見ても「これはいじめだね」「モラハラだと思う」という意見が聞けるかもしれません。
そうすると、「自分は悪くない」という考えを一層強く持つことができるようになります。
さらに、今後モラハラについて会社側に相談したり、訴訟などの損害賠償請求をしたいと思ったりしたときには、こういった「事実の詳細記録」はとても役に立ちます。