「お手数をお掛けして申し訳ありません」の意味と正しい使い方
社会人になって何気なく使っている言葉が実は間違いだったかも?というヒヤッとした経験はあるものです。そんなときにはすぐに正しかったのかどうかを確認しましょう。失敗を重ねていくうちにそれが自分の知識になってきます。言葉使いは普段から気をつけていないといざというときにうまく使えずドキドキしていまいますね。今回は大人として正しく使えるようにツボを抑えた内容です。
なかでも相手に対してお詫びを表す言葉は、使い方に気をつけないと笑われてしまうことになりそうです。そしてお詫びするときに「ご迷惑をお掛けして…」「お手間を取らせてしまい…」などと同様によく使われるのが、「お手数をお掛けして申し訳ありません」という言葉です。
ここでは、その言葉の正しい使い方をご紹介します。
「手数」とは?
相手に何かお願いをして時間をとってその内容を行ってもらった場合によく使われる言葉が「お手数をおかけして申し訳ありません」です。会話だけでなくメールや手紙にも使われていますね。
手数をお掛けする?掛けさせる?
「手数を掛ける」に似た言葉に「手間を掛ける」というものがあります。この2つの語には次の違いがあります。
- 「手間を掛ける」…自分が労力や時間を費やすこと
- 「手数を掛ける」…他人が自分のために労力や時間を費やしてくれること
「手間」は相手に掛けさせてしまうものですが、「手数」は掛ける・掛けてしまうものです。つまり、
- ×「お手数を掛けさせてしまい申し訳ありません」
ではなく、
- ◯「お手数をお掛けして申し訳ありません」
という使い方が正しい用法です。
「迷惑を掛けさせる」「苦労を掛けさせる」と言わないのと同じと覚えておくといいでしょう。
「お手数をお掛けして申し訳ありません」を使う場面とは?
相手に意図せず面倒をかけてしまったときに、お詫びするときに使います。
- こちらの不手際により、お手数をお掛けして申し訳ありませんでした。
また、何かを依頼したいときに、いわゆるクッション言葉として使用することもできます。
- お手数をお掛けして申し訳ございませんが、こちらの書類に記入をお願いいたします。
また、似たような言葉に次のようなものがあります。
- お手間を取らせてしまい申し訳ありません
- ご迷惑をお掛けして申し訳ありません
- ご面倒をお掛けして申し訳ありません
大体の使い分け方は、次のようになると覚えておくといいでしょう。
- 「手数」…実際に何か作業が発生する・したとき
- 「手間」…「手数」にほぼ同じ
- 「迷惑」…相手に何か不利益が生じたとき
- 「面倒」…割と親しい相手に対して
なお、「ご迷惑をお掛けしますが、よろしくお願いします」というような言い方はしません。迷惑をかけるとわかっていてお願いするのは失礼に当たるからです。
疑問に思ったらすぐに調べよう!
何気なく使っている表現ですが、実は文法的に正しいのか間違っているのかよくわからないということもありますよね。
きちんと調べて、自信を持って使えるようになりましょう。