福音書4つ全部に登場する聖書ヒロインは、他に聖母だけです。スピリチュアルな人にも大人気。2018年に映画「マグダラのマリア」も公開されましたが、その生涯は謎に包まれていて様々な異説が語られています。そのミステリアスなマリアの魅力をまとめました!
聖母以外で聖書で最も有名な女性と言えばこの人!
実に謎が多く、聖書中でもっともミステリアスな人物と言われている!
シニョレリ オルヴィエート大聖堂美術館
紀元後1世紀に実在した女性、キリストに従った聖人
「マグダラ」とはパレスチナ北部にある町で、彼女の生誕の地
西洋絵画に多く描かれている魅力的な女性である。
その叙述の少なさに関わらず、現在でも人気の高い女性で、数多くの絵画や文学、映画に登場してきた。
実体は謎だらけ!未だに明確にわかっていない彼女の正体
なぜよくわからないかと言うと、彼女の特徴は、歴史の過程で幾度となく、書き換えられているからです。
涙と高価な香油で、イエスの傷んだ足を洗った女性は、マグダラのマリアとされてきました。
ルーベンス エルミタージュ美術館
「あれは罪深い女なのに」→「お前は足を洗う水もくれなかったが、この人は涙で私の足をぬらし、髪の毛で拭ってくれた」
「この人が多くの罪を許されたことは、私に示した愛の大きさで解る。許されることの少ない者は、愛することも少ない」
イエス「私はあなたの罪を許した。あなたの信仰があなたを救ったのだ。安心して行きなさい」
罪の女がマグダラのマリアだとは一言も書かれていません。
絵画や映画には決まって、娼婦として登場します。
娼婦の守護聖人でもあります。
ルネサンス期のビーナスに代わり、
バロック期のお色気ヒロイン。
ティチアーノ ピッティ宮殿美術館
絵画の需要が多かったのは「元娼婦」という肩書きがあったから。
聖書のヒロイン聖母マリアを脱がすわけにはいきませんから!!
全てを投げうち回心するシーンなら裸もOK・・言い訳上手。
だけど・・・娼婦だったという記載は聖書のどこを探してもないんですよ!!
7世紀初頭、キリスト教の最高顧問であった大教皇グレゴリウス1世が、女性の身で7つもの悪霊を有していたのは「娼婦だったに違いない」というド偏見のもと、「娼婦」ってことになったんです!!
よく言えば、複数の魅力的な役柄を一人の女性にまとめてしまうことで、面白さを増した、と。
娼婦で罪深い女だったという解釈は西方教会が女性を下位に位置づけるために作らせたという説がある。
誤りであることをヴァチカンは1969年に認めています。
コレッジョ「我に触るな」プラド美術館
磔にされたイエスを遠くから見守り、その埋葬を見届け、そしてイエスの復活に最初に立ち会う。その復活を弟子たちに伝えた聖女
ヨハネ以外の男性使徒たちは、処罰を恐れて、みんなどこかへ逃げてしまっていました。
イエスから信頼を得ていた弟子の一人、という方が史実的には誤りが少ないと思う。
新約聖書の外典研究なんかでは、マグダラのマリアが他の弟子と同等の地位にいる
ナグ・ハマディ文書には、マリアが他の弟子たちを諭す場面も書かれています。
バチカン法王庁は2016年6月10日、マグダラのマリアの役割を評価し、彼女を典礼上、“使徒”と同列にすることを決めた
つい最近ですねー。2000年間虐げられてきた罪深き娼婦が、聖女の中の聖女になりました。
実は…イエスの最大の理解者?
イエスの処刑を「神の国を呼ぶことに失敗した」と捉え、目をそらしてしまった弟子。実際にローマの圧政を滅ぼしてくれるとイエスに期待してしまった弟子たち
そんな男の弟子たちとマリアは違いました。
マリアは、具体的な奇跡ではなく「内面的な変革を経てこそ心の中の神の国に至れる」と理解していたただ一人の弟子だった
美貌と富ゆえに快楽に溺れたが、イエスに会い回心した。
冷たい気品の漂う悪女っぽい美女だったのか。
クリヴェリ アムステルダム王立美術館
大きな影響力を有し、「最初の女性法王だった」という説があった
イエスの一番弟子を自認し、初代ローマ教皇でもあるペテロは、自分たちがマリアに服従するようになることを恐れ、反発します。
教団のあるある、教祖亡き後の主導権争いですね。マリアは泣きながらペテロと対決します。
その結果はペテロ側の勝利であり、女性を男性より低く位置づける立場が大勢を占めたということです。
もしマリア主導の女性のキリスト教になっていたら、世界はどんなに変わっていたことでしょう。
イエスの妻で、子も産んだ!?
『フィリポによる福音書』「主はマリヤをすべての弟子たちよりも愛していた。そして主は彼女の口にしばしば接吻した」
外典「マリアの福音書」には、「マグダレネーがイエスの伴侶と呼ばれていた」とあります。
「マグダラのマリア」の存在は、聖母マリアが生前、なぜ息子イエスの婚姻に余り熱心でなかったかという謎を解明するうえで重要な役割を担っているはずだ。
物語としてマグダラのマリアがキリスト伴侶だったというほうがドラマチックで面白いなぁ・・
映画『ダビンチ・コード』での指摘。
ダビンチ「最後の晩餐」
イエスとマグダラのマリアが結婚しており子供を設けたという説。
『ダヴィンチ・コード』がそれをストーリー中に使っている。
子供がいたとすれば、その血脈は後世にどのように続いていったのか?真相は闇の中であり、今なお多くの学者が事実を求めて研究を行っている。
教会としては、ずっと隠しておきたい男女の秘密です。
マリアはフランスで30年も暮らした? 歴史ロマンあふれる説
カトリックの教えによると、聖母マリアとともに小アジアのエフェソスに移り住み、そこで亡くなったとされています。
というのが通説なのですが、その死ははっきり確認されていないのです。
彼女とその子孫が南フランスに逃れたという中世に遡る伝承がある
マルセイユ周辺で布教に努め、サント・ボームの洞窟で隠者として過ごしました。その時彼女は衣服を身につけず、物凄く長い髪を身に包んでいたそうです。
下の天使、重そうでカワイソウ。
グダンスク ワルシャワ国立美術館
彼女の遺体はサン・マクシマン教会へ葬られたとされ、聖遺物とされる頭蓋骨が残されているそうです。
様々な証拠が現代にまで残っています。
フランス サントボーム
遺骨から完全復元! 穏やかで理知的な顔であることが判明
フランスの南部海岸地方にマグダラのマリアと娘が難民として避難してきたというイベントをお祭りにしているところがあるのですよ
いつかイエスとマリアの娘のことが書かれた古文書が、地中海のどこかで見つかるかもしれません。。