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ギャンブルの神様=直木賞作家。二つの顔を持つ男『色川武大』の正体

ギャンブル

麻雀小説家として知られる「阿佐田哲也」のもう一つの顔、それは直木賞作家「色川武大」としての顔だ。今も熱烈な読者を増やし続ける、この二つの顔を持つ男の正体とは一体?

昭和最後の無頼派作家

純文学は色川武大、エンタテインメントは阿佐田哲也、二つの顔で作品を描きわけた希代のアウトロー作家

どんな人なの?

色川武大が亡くなったのは一九八九年、まさに昭和の終わりの時期だが、その評価は、没後、ますます高まっているといってよいだろう

色川さんの魅力は分かりやすく説明できるものではなく、明確でない、混沌(こんとん)とした魅力です

そして1978年「離婚」で第79回直木賞を受賞している。

作品などほとんど発表していないのにみんなに注目され、作品を待たれ、すこし書いたら早速これが泉鏡花賞、次の「離婚」で直木賞。審査員クラスがあげたくてあげたくてしょうがないという感じの受賞だった。人徳である

自伝的小説『麻雀放浪記』シリーズなどで、麻雀ブームを牽引した。

麻雀の世界では「雀聖」とあがめられた伝説の打ち手だった

麻雀のプロでもないのに阿佐田は未だに崇められている。誰もが認める一流雀士である小島武夫や古川凱章、桜井章一にも勝る崇められ方である

阿佐田哲也が「競馬、競艇などのギャンブルの中で人が最後にたどりつく『ギャンブルの王様』は競輪である」って言っていた

大衆芸能にも精通していて、映画、ジャズ、落語、演芸など評論家顔負けの知識量であった。

けた外れの映画好きとして知られた

芸人への同志愛みたいなものすら感じられる。芸人の名前をノートに徹底的に書きこむなど、要するに色川はオタクの走りでもあった

交友範囲が広い事でも知られる。

あまりにもやさしいデリカシーとサービス精神に富みすぎて、そのためにまわりに多くの敬愛者を集めた

色川さんは演芸通だった。談志が兄貴と慕い、あの口の悪い男がおとなしい弟分に撤していた

井上陽水さんも麻雀仲間だった

その特異な人柄と才能で、周りの人々からとても愛されていた。

すべてを受け入れてくれる桁外れに大きな懐、いっしょにいるだけで包み込まれるような奇妙な安堵感

若い頃はなかなかの二枚目で、目は切れ長、まつ毛は長く、痩せ気味で、精悍なムードを漂わせていたとか

豪放磊落の性格で、他人に頼まれ事があれば決して断ることはしなかったといいます。金銭感覚もギャンブル小説の主人公よろしく、豪快で一晩に何百万も賭けて勝負してしまうとか

日中において、場所や状況を選ばず起きる強い眠気の発作を主な症状とする、睡眠障害(ナルコレプシー)を患っていた。

突然、襲いかかってくる睡眠発作、さらには脱力症状。幻視・幻聴・幻覚などが顕れる奇病なのだとか・・・・。この病気にかかると食欲が無限になってしまい、苦痛も伴い、その疲労感は常人の五倍といいます

終始食事をしながら、さらに精力的に小説やエッセイを書き、競輪に出かけ旅行し、麻雀・サイコロなどもやっているわけですから、まさに「怪物」の名に値する人物

どんな作品を書いたの?

色川名で「名」を、阿佐田名で「実」をとった形だとも言えよう

色川文学の出発点といわれる作品。

「怪しい」と言うよりは、自身の戦争体験記や不遇に終った勝負師・芸人や社会の片隅で生きる知人達の有様を纏めたもの

淡々とした文体で、しかしながらヴィヴィットな情景を描きだす、息を呑む最高の傑作

色川武大が書いた最後の長編小説作品。

自らを「狂人」と呼ぶ主人公が、自らの半生を振り返りつつ、病院内で恋人と出逢うが・・・といったストーリーだが、起承転結より、心理描写を読むタイプの小説

生きていく上で必要な技術とセオリーを、語りかけるように書いた作品。

弱さを肯定してくれていると感じる。この人にはまると中毒になる

幅広い人脈を持ち、様々な経験と想像を持った筆者にしか書けないリアリティと説得力があり、ふとした時に何度でも読み直して、自分の血に細胞に染み込ませたい、まさしく一生ものの作品

阿佐田哲也名義の作品。ギャンブルとしての麻雀を題材としており、文中に牌活字がしばしば登場する娯楽小説。

こんなにワクワクしながら読める本ちょっと他にないから

私なりに持っている「生きるとは」「勝負とは」「ルールとは」「プロとは」といった考えの原型は、ほぼ「麻雀放浪記」が母胎となっている、と言っても差し支えない

出典人間風車

関連作品

出典hurec.bz

『麻雀放浪記』の映画版。監督は和田誠。

博打で生きていく人達の非情さと現代の我々には理解しがたい己の哲学を正当化する発言や愛の表現など観ている者に妙な説得力として投げかけてくる映画

原案:さいふうめい、漫画:星野泰視。週刊少年マガジンで1997年から2004年まで掲載された。単行本全41巻。

麻雀において重要な技術と運。そしてさらに様々なイカサマを駆使して戦うバイニンを描いた麻雀漫画。独特な絵柄から生まれるキャラクター達は一癖も二癖もあり、イカサマを用いた頭脳戦、心理戦などの描写はなかなか楽しめます

伊集院静による自伝的小説。色川武大との交流が描かれる。

女優だった妻を亡くし、絶望の淵に立たされた主人公が作家であり、エッセイストである色川武大氏と出会うことで再生をしていく

「先生」のモデルになっている阿佐田哲也の印象といえば、いつも沈鬱な表情で凄味のある「ギャンブルの神様」でこれほど優しく魅力あふれる人物とは知らず意外であった

名言の数々

「人は誰でも最高の生き方をするために生まれてきた」

尋常でないナニカ一種の凄みと限りない優しさをこれほどまでに兼ね備えた人が実在したことが恐ろしくもあり切なくもある

「すべてで勝たなくてもいい。負けが続くことも長い人生の中では当然ある。長い目で見たときに、トータルで九勝六敗くらいになっていればいいんだ。」

豪放な作品と奇奇怪怪な風貌で「強面の変なおっさん」に見られがちな作家の真の姿は、人の何倍も心やさしい謙虚な、そして自身も壊れやすい繊細な人物。彼に触れた全ての人が魅了されずにはおれない愛すべき男性だった



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