映画の公開から20年以上たった今でも愛され続けるムスカ大佐。その魅力とは一体どういったところにあるのだろうか。
▼ムスカ大佐について
ムスカとは、スタジオジブリの映画『天空の城ラピュタ』に登場する悪役。ジブリ作品の悪役は、根っからの悪党ではなく、どこか憎めない、あるいは対立する勢力の間で苦悩し揺れ動く存在として描かれることが多いが、ムスカはその中でも珍しく最後まで冷酷非情なキャラクターとして描かれている。
1.高貴な貴族の血筋
イングヴェイ・ヨハン・マルムスティーン。
本名はロムスカ・パロ・ウル・ラピュタ(ラテン文字表記:Romuska Palo Ur Laputa)。
シータと同様にラピュタ王家の末裔であるが、ムスカはラピュタの力を手中に収めてラピュタの王として世界に君臨することに野心を燃やす。
2.年齢にそぐわぬ高い社会的地位
デッカー大佐。
ご覧のとおりの高齢である。
大学校出の中佐は40~45で大佐となります。この頃になると師団参謀長、参謀本部課長クラスと、
実質的に軍の中枢の握る事となります。
大佐の現役定限年齢(定年)は56歳
旧日本軍では従五位を与えられる。
出典階級表
年齢は、1986年8月のアニメージュによると28歳。ロマンアルバムのキャラクター覚書では、32歳と紹介されている。
いずれにせよ異例の昇進を遂げている。
このことからもかなり仕事が出来る人間だと推測されます。
3.ロボット兵を前にしても冷静沈着、かつ、的確な判断
常識的に考えて冷静な判断ができるわけがない。
あれほどの巨大な兵器を間近に見ても冷静に対処法を考え、実際に対応できる人物はなかなかいない。
ティディス要塞でシータの呪文により目を覚ましたロボット。混乱する将兵達の中で、唯一冷静に行動したのは彼一人だった。分厚い防護壁を一瞬で破壊するロボット。その様子を目の当たりにし、普通の人間ならば逃げ出すだろう。しかし大佐はその様子を見て「すごい」の一言。ボキャブラリーに乏しいが、冷静かつ簡潔にロボットの力を分析する。
将軍に任せたら無茶苦茶になってしまうと判断したのだろう。大佐は電話線を切断、独自に通信回路を設定し将軍から指揮権を奪う。しかし、こんなことをしたら軍法会議ものだ。そこで大佐は、「ロボットにより通信回路が破壊された」と巧妙なウソをつき、各部へ矢継ぎ早に命令を下す。
「砲弾から信管を抜け。少女を傷つけるな。」正にその通りである。爆発でもしたらシータはバラバラ、とてもじゃないがお子様には見せられない映画になってしまう。大佐は観客のことも考えているのだ。
4.素早く平和的な問題解決を心得ている
小僧に対してもオトナの対応。
「パズー君。君を誤解していた。許してくれたまえ。君がこの方を海賊から守るために奮戦してくれたとは知らなかったんだ」
「ラピュタの調査は、シータさんの協力で軍が極秘に行うことになったんだ。君の気持ちは分かるが、どうか手を引いて欲しい」
「君も男なら、聞き分けたまえ」
「これは僅かだが心ばかりのお礼だ。とっておきたまえ」
出典劇中のセリフより
5.上司にへつらうようなことはしない
ムスカ大佐は自身の上官にあたる将軍であろうと苦言を呈する度胸を持っている。
「制服さんの悪いクセだ」
「事を急ぐと元も子もなくしますよ、閣下」
「閣下が不用意に打たれた暗号を解読されたのです」
「これは私の機関の仕事です」
「閣下は兵隊を必要な時に動かしてくださればよい」
(モウロ将軍が自分が司令官だと誇示する)
「もちろん。私が政府の密命を受けていることもお忘れなく」
将軍という呼称は准将 (Brigadier General) 、少将 (Major General) 、中将 (Lieutenant General) 、大将 (General) をひっくるめて使うことが多いが、少なくとも大佐よりは上の階級であり、一般企業では上司。
規律の厳しい軍隊にあっては上官の命令は絶対であり、違反しようものなら軍法会議モノ。
その中にあってこの胆力である。
6.高い教養と言語能力
出典mozi.jp
17歳までには13ヶ国語以上の言語を取得したといいます。
ムスカ大佐も初見で古代のラピュタ文字を解読したことから、かなりの言語能力を有していたのではないかと推測できます。
教養は高く、旧約聖書やラーマヤーナに通じており、ラピュタ文字を解読できる。
「黒い石だ!」
「はっ、はぁぁ!えぇぇっ!伝書のとおりだ!!」
「はぁ、はぁ、ははぁ…読める!読めるぞ!!」
7.実戦でも高い能力を発揮
リボルバー・オセロット氏。
射撃の腕も優れており、暗闇の中、大きく離れた距離からシータのおさげ髪のみを両方とも片手で撃ち抜き、中折れ式リボルバー(エンフィールド・リボルバー)の再装填をわずか3秒で完了させる。パズーに対して、ドーラが渡した大砲と勝負することを持ちかけるなど、射撃の腕には絶対的な自信を持っている。
自身も高い戦闘能力を有している。
8.忘れない少年の心
不安な少女もこれで一時の楽しみを得ることだろう。
「返したまえ。いい子だから、さぁ!」
「ハッハッハッハッハ…どこへ行こうというのかね?」
(早歩きで)
「ハッハッハッハッハ…」
(カッカッカッカッカ…とムスカ様の靴音が静寂の中に響きわたる)
9.物事を端的に表すことのできる表現力
最近よくみる「ローンチ」などという一部でしかわからないような言葉ではなく、誰にでもわかるような言葉で物事を表現する。
実はこういった表現のほうが丁寧なのだ。
こういう人は特に女性に好かれる傾向にある。
最終的には自らそのゴミのような最後を遂げてしまった。
(ゴリアテの空しい抵抗を見て)
「ははっ、さっさと逃げればいいものを」
「ハッハッハッハッハ、私と戦うつもりか?」
「素晴らしい!最高のショーだと思わんかね?」
「ほぉ…ははっ!見ろぉ!人がゴミのようだ!!」
このボキャブラリーは常人では真似できない。
10.忍耐力がある
本来対等ではない立場である小僧の提案を受け入れ、3分も待ってやる、しかもそれまでの過程で自分の仕事をことごとく邪魔してきた相手に対してである。
かなりの忍耐力を持っている。
「小僧!娘の命と引き換えだ!石のありかを言え!」
「…それとも、その大砲で私と勝負するかね?」
(小僧が馬鹿げた提案を出してくるが心優しいムスカ様は)
「3分間待ってやる」