日本軍の階級・兵科・兵種・各部まとめ

戦争

◆日本軍の基礎知識<軍人編>◆

これからの内容を理解するには必要不可欠の基礎知識です。
特に近代日本史は軍事に関しての知識があるのと無いのとでは、大きく理解度が異なります。
もちろん覚える必要などありませんので、そういうものだと理解して下さい。

◇階級◇

将校(士官) 准士官 下士官
将官 佐官 尉官
陸軍 大将 中将 少将 大佐 中佐 少佐 大尉 中尉 少尉 准尉 曹長 軍曹 伍長 兵長 上等兵 一等兵 二等兵
海軍 大将 中将 少将 大佐 中佐 少佐 大尉 中尉 少尉 兵曹長 上等兵曹 一等兵曹 二等兵曹 水兵長 上等水兵 一等水兵 二等水兵

上の表は、旧日本陸海軍の階級表一覧表です。(陸軍は昭和16年以降、海軍は昭和17年以降のもの)
戦後も50年以上たつと、もはや一般に馴染みはないと思います。でも、一番身近にいる警察官の、巡査や警部、警視総監などと言ったものは耳にしたことがあるでしょう。
階級とは、その組織における身分を示すものです。

大将から少尉までを将校(しょうこう)、准尉(海軍は兵曹長)を准士官(じゅんしかん)、曹長から伍長まで(海軍は上等兵曹から二等兵曹)を下士官(かしかん)、兵長から二等兵まで(海軍では水兵長から二等水兵)を(へい)と言います。(正確には、全て陸軍、あるいは海軍が頭に付きます。例:陸軍歩兵大尉、海軍機関少佐)

将校は士官(しかん)とも言われますが、陸軍では特に大きな違いはありません。ただし、海軍では意味が異なるので注意が必要です。(将校や士官という区分の中にも、色々と種類があります)
将校(後述の准士官、下士官を含め)は、今で言う国家公務員です。これを帝国官吏と言います。
将校には軍での階級の他、帝国官吏(文官武官とも)としての官位もあるのです。

将校は更にいくつかに分類されます。
一番上位にあるのが、将官(しょうかん)で、上から大将(たいしょう)、中将(ちゅうじょう)、少将(しょうしょう)です。いわゆる将軍(陸軍の場合)や提督(海軍の場合)と呼ばれるのはこの人たちです。
次が佐官(さかん)で、上から大佐(たいさ)、中佐(ちゅうさ)、少佐(しょうさ)。
そしてその次が尉官(いかん)で、上から大尉(たいい)、中尉(ちゅうい)、少尉(しょうい)です。
なお、海軍ではたとえば大尉を(だいい)と言うように大の発音が濁るそうです。

将校の次に来るのが准士官です。准士官とは、将校の補充を目的として下士官最上級(曹長)の一部を任官させ、少尉候補者を経て少尉となることが出来るものです。(本来の将校は、兵や下士官から進級するわけではない→後述)
陸軍では准尉(じゅんい)、海軍では兵曹長(へいそうちょう)と言います。
准尉とは准少尉という意味ではありません。

下士官は、兵にあるものが志願する、あるいは兵役中に下士官適任者であるという評価(証明)された兵がなるものです。ここから上が、いわゆる職業軍人で、公務員(官吏)になります。
陸軍では上から曹長(そうちょう)、軍曹(ぐんそう)、伍長(ごちょう)。
海軍では上から上等兵曹(じょうとうへいそう)、一等兵曹(いっとうへいそう)、二等兵曹(にとうへいそう)です。

兵は、徴兵令によって兵役にある現役兵士です。兵役に服すことは国民の義務でしたから、今の自衛官のように公務員(官吏)ではありません。ですから、ここで言う階級は上下関係を示すものではなく、勤務期間の長短、あるいは兵役中の評価によるものです。(ただし、やはり経験による差で上下関係はあります)
陸軍は上から兵長(へいちょう)、上等兵(じょうとうへい)、一等兵(いっとうへい)、二等兵(にとうへい)。
海軍は水兵長(すいへいちょう)、上等水兵(じょうとうすいへい)、一等水兵(いっとうすいへい)、二等水兵(にとうすいへい)です。

<補足1>
元帥(げんすい)という階級が外国にはありますが、日本では階級ではなく、称号としてあります。(だから階級一覧には載っていません)
元帥府(組織と編制編参照)に列せられ、終身現役にあり、軍の意見役や天皇陛下の軍事顧問という役割です。呼称は元帥陸軍大将、あるいは元帥海軍大将と言います。
陸海軍併せて30人の大将が元帥となっています。
なお、国軍最高指揮官である天皇陛下は、大元帥陛下陸海軍大将といい、階級を示す識別点では元帥よりも上であることになっています。しかし、戦時中の主要会議や陸軍関係の催し物に出席するときには陸軍大将の、海軍関係の催し物に出席するときには海軍大将の軍服を着用しています。

<補足2>
准将(じゅんしょう)も外国にはある階級ですが、日本にはありません。准将とは旅団長陸将のことで、旅団長が少将職である日本にはないのです。無論、準少将という階級ではありません。(以上の理由から准佐と言う階級は存在しません)

◇兵科・兵種・各部◇

軍人や兵隊が、全員鉄砲を持ち、野や山を駆けめぐり、敵と戦うと思ったらそれは間違いです。
兵科(へいか)とは専門職域のことを言い、兵種(へいしゅ)とはその専門職域ごとの区分、そしてそれら戦闘部隊以外での職域で、軍人が勤務しているものを各部(かくぶ)と言います。

兵科には、以下の7つがあります。(大正14年以降)
歩兵科、騎兵科、砲兵科、工兵科、輜重兵科、憲兵科、航空兵科
(注1 将官には兵科の別はない。ただし各部に属する将校は別)
(注2 憲兵科は上等兵以上のみで構成)(注2 憲兵科は上等兵以上のみで構成)
(注3 輜重兵の輜重とは、荷物を運ぶと言う意味です)
これらは部隊名称(例:歩兵連隊)や階級(例:歩兵少尉。ただし昭和15年以降は兵科を廃止)で良く出てくる言葉です。

兵種は、各兵科の中で更に専門的に細分化されたもので、一番多かった砲兵科のみを例示します。(部隊名称として良く出てきます)
野砲兵、山砲兵、騎砲兵、重砲兵、野戦重砲兵、機動砲兵、船舶砲兵、迫撃兵、高射兵、情報兵、気球兵

各部は、以下の6つです。(昭和12年以降)
経理部、衛生部(軍医科、薬剤科、歯科医科、衛生科)、獣医部、軍楽部、技術部(昭和15年以降に新設)、法務部(昭和17年以降に新設)
文官が勤務する部は各部とは言いません。(技術部や法務部はそれ以前は各部ではなかった)

◇士官学校と徴兵◇

軍隊や軍人が当たり前に存在していた当時とは異なり、今では分からないことだらけでしょう。
軍人(いわゆる職業としての軍人で、将校、准士官、下士官)と、兵役に服している者について、主に陸軍を例にとって(海軍は将校になるのも兵役制度も陸軍と異なる)説明します。
なお、実際はかなり膨大な説明を必要とするものです。一部分かりやすいように記載や説明を除外しました。(これは後に軍事研究の方で詳しく解説します)

職業として軍人を志すには、次の方法があります。
兵役にあって下士官を志す
満20歳以下で、陸軍士官学校(あるいは陸軍航空士官学校)の試験を受け、合格する
これらはそれぞれに教育を受けた後、前者は伍長に、後者は少尉になりました。
先に述べたように、これらは公務員(官吏)でもあります。

徴兵令のあった当時、兵役に付くことは国民の義務でした。法体系としては複雑なものなのですが、今では想像も付かないものでしょうから、簡単に説明します。
昭和2年の徴兵令全面改定より後、兵役法として兵役を常備兵役(現役と予備役)、後備役(昭和16年に廃止され、予備役に吸収)、補充兵役(第一、第二)、国民兵役(第一、第二)に区分しました。
成人男子は満20歳になると徴兵検査を受け、次の結果を受けます。(なお、17歳以上であれば志願することもできる)
甲種、第一乙種、第二乙種(以上が合格)、丙種(身体上に欠陥があり、国民兵役には適する)、丁種(身障者など兵役に適さない)、戊種(未決囚など兵役の判定が出来ない)
合格者は兵役に服する(入営する)事になりますが、全員というわけではなく、必要な人数のみが入営することが普通でした。(しかし戦況が悪化してくると丙種でも徴兵)
兵役は、現役(実際に入営して軍事教練を受ける)2年、その後予備役(一般の生活に戻るが、必要に応じて召集を受ける)に編入され5年4ヶ月、さらに後備役(予備役と同じだが、召集は予備役よりも後にされる)へ移され10年(後備役廃止後は予備役が15年4ヶ月)で、その後は第一国民兵役(満40歳まで)に服しました。
兵役検査に合格し、実際に入営しなかった人間のうち、一部が第一補充兵役(12年4ヶ月の間に120日以内の教育召集を受ける)に、それ以外が第二補充兵役に服します。
後備役、および第一補充兵役を終えた人間は次に第一国民兵役に服しましたが、第二国民兵役は満17歳以上45歳までの軍隊教育を受けたことのない者が服しました。
すなわち、次に上げる者(一部の例外)以外は全て(満17歳以上45歳まで)の日本国民は兵役(兵、つまり軍人)にあると言うことになります。
兵役不適格者(兵役検査で丁種とされた者)
兵役免除者(重度の身障者)
徴兵延期者(病気や未成熟で翌年再検査の者)
性(国民の半数に達するが、若干の除外例とされます)
国民は通常、兵役に服すといえば陸軍であり、海軍に行くのは少数でした。海軍では兵役制度が異なり、建前上は志願が原則とされています。

なお、召集とは、主として平時から戦時となったときに、現役以外の兵役にある者を一時的に軍務(軍隊勤務)につかせる事を言います。(この時に使われる令状が赤色であったため、これを赤紙と呼んでいた)
もちろん召集を解除された後は再び予備役(あるいは召集以前の兵役)に戻ります。

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