オヤジギャグやダジャレよりも高度で粋なシャレである「しゃれことば」をご存知だろうか。大阪ことば、江戸ことば
このまとめでは、ダジャレより高度で粋なシャレ「しゃれことば」の中で有名な言葉をまとめています。
日常生活で「あなたは”うどん屋の釜”ですね」と言ったところで、相手は「???」と通じないのが普通でしょう。
「しゃれことば」はある程度の発想力が必要な高度なシャレなのです。
「しゃれことば」って何?
洒落(洒は酒ではない)は、語呂合わせなどで人を笑わせる気の利いた言葉。
”しゃれことば”は”洒落”をもう少し高度にしたモノです。
だから、それなりの頭の回転を必要とします。
赤児の行水(あかごのぎょうずい)
盥(たらい)で泣いている
(お金が)足らいで泣いている
⇒資金不足
強引さ加減が調度よい。
赤ん坊の小便で(あかごのしょうべんで)
赤子は「ややこ」 小便(尿)は「しい」
⇒ややこしい
多少の脳ミソの回転が必要。
明店の夷様(あきだなのえびすさま)
明店…あきだな。人の住んでいない家。
恵比須像は笑いをふくんでいる。
⇒にこにこしている
閑古鳥
明店の雪隠(あきだなのせっちん)
尻が来ない
⇒とばっちりが来ない
あの人は春日さん(あのひとはかすがさん)
春の日は暮れそうで暮れない
⇒くれそうでくれない
春の日と親類の金持ちはくれそうでくれない。
雨気の太鼓(あまけのたいこ)
なり(鳴り)が悪い
⇒身なりが悪い
ピンと来たでしょう。
空き家の雪隠(あきやのせっちん)
雪隠は「便所」
肥(声)がない。
⇒意見などが無い。ぐうの音も出ない。
池田の牛(いけだのうし)
伊丹入る(池田の牛が隣町の伊丹に行商に行く)
⇒痛み入る
地理的知識を必要とする。
池之端のずいき(いけのはたのずいき)
⇒いけずな人(意地悪をしたりして,女たちを困らせる人)だという時に使うシャレ。
石垣のうなぎ(いしがきのうなぎ)
手が出せぬ
⇒手の出しようが無い
石屋の宿替(いしやのやどがえ)
重い重い(思い思い)
⇒まとまりが無い
嬢さんの癇癪(いとさんのかんしゃく)
嬢さんが癇癪で琴を割る
琴割る
⇒断る
妹の嫁入り(いもうとのよめいり)
姉(ねえ)に相談
値に相談
⇒値段次第
お店で「買うかどうかは『妹の嫁入り』ですね」なんて言ったら、店員は「ポカーン???」とすることでしょう。
植木屋のせり分け(うえきやのせりわけ)
木(気)が多い
せり分け…競り売りして買い主に分けること
⇒気が多い
兎の逆立ち(うさぎのさかだち)
⇒耳が痛い
逆立ちしたら、耳で支えることになるので、そのまんまの意味ですね。
兎のとんぼがいりで(うさぎのとんぼがえり)
⇒耳が痛い
「とんぼがいり」は現在では「とんぼがえり」と言うのが一般的かも。
「とんぼがえり」は「蜻蛉返り」と書きます。
1 地面を蹴って、空中でからだを1回転させること。
2 ある場所に行って用を済ませ、すぐに戻ってくること。
牛のおいど(うしのおいど)
おいどは「尻」
牛(モー)の尻
⇒物知り
「おいど」の知識が必要。
うどん屋の鰹(うどんやのかつお)
ダシ抜かれた
⇒出し抜かれた、先を越された
単純だけど、絶妙なシャレ。
うどん屋の釜(うどんやのかま)
湯ばかり
ゆう(言う)ばかり
⇒口先だけ
これが一番メジャーかもしれない。
うどん屋の湯(うどんやのゆ)
そばの湯は飲めるが,うどんを茹でた湯は飲めない
⇒見かけ倒しで役に立たない
関西(うどん)と関東(そば)の対比を利用したしゃれことばですね。
江戸の土産(えどのみやげ)
海苔(江戸の土産の代表)が来た
乗りが来た
⇒調子づいてきた
江戸の土産=海苔、この知識が必要である。
お寺の色事(おてらのしきじ)
堂でもよい
⇒どうでもよい
普通すぎる。
女にふんどし(おんなにふんどし)
食い込む
⇒赤字続き、予算オーバー
蚕の小便(かいこのしょうべん)
桑の葉に小便(シー)
⇒詳しい
無理矢理。。。
金槌の川流れ(かなづちのかわながれ)
⇒一生浮かばれない
そのまんま。
髪結いの正月(かみゆいのしょうがつ)
結う(言う)ばかり
⇒口先だけ
うどん屋の釜と同じ意味。
川流れのゴミ(かわながれのごみ)
杭に掛かる
⇒食いにかかっている
紀州の西瓜(きしゅうのすいか)
皮が厚い
⇒厚かましい
厚顔無恥ですね。
材木屋の泥棒(ざいもくやのどろぼう)
木盗ってる
⇒気取ってる
黒犬のおいど(くろいぬのおいど)
尾も白くない
⇒面白くない
五合徳利(ごごうとっくり)
一升詰まらない
⇒一生つまらない
子供の手水鉢(こどものちょうずばち)
(子供はすぐに)杓に触れる
⇒癪に障る
魚屋のゴミ箱(さかなやのごみばこ)
(魚の)あら溜まっている
⇒改まっている
薩摩土瓶(さつまどびん)
薩摩焼の土瓶は口が欠けやすい
⇒口が悪いという批評
山椒の飯(さんしょうのめし)
木の実木の飯(まま)
⇒着の身着のまま
関西弁なので「さんしょう」を「さんしょ」と言うのが普通の使い方。
小便する(しょんべんする)
蛙(かわず)は小便しながら逃げる
⇒買わず
蛙を「かえる」と呼ばずに、わざわざ「かわず」と呼ぶところがイイ。
死んだネコの仔(しんだねこのこ)
ニャンとも言わず
⇒何とも言わない
寿司屋の粗(すしやのあら)
身がない
⇒内容が無い
砂地の小便(すなじのしょんべん)
⇒溜まらない
砂にしみこんで行くからでしょう。
雪隠の火事(せっちんのかじ)
雪隠(トイレ)の火事(焼け)
⇒やけくそ
瀬戸物の巾着(せともののきんちゃく)
瀬戸物(陶器)の巾着
⇒口が開かない
背中に牡丹餅(せなかにぼたもち)
負い萩
⇒追剥ぎ(おいはぎ)
太鼓のおいど(たいこのおいど)
ドンけつ
⇒最後
大仏の柱(だいぶつのはしら)
木が太い
⇒気が強い
立てば食欲、座ればベタン、歩く姿に無理がある
美人形容の「立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花」を改造したもので「無細工な元美人」に対する言葉
「シャクヤク⇒ショクヨク」「ボタン⇒ベタン」「ゆり⇒ムリ」
語呂的にも内容的にもいいですね。
狸の睾丸(たぬきのこうがん)
股いっぱい
⇒もう一杯
血みどろ
頭を割られると血みどろになる
⇒頭割り
⇒割り勘
10日の菊(とうかのきく)
菊は重陽の節句(9月9日)の飾り物
10日では間に合わない
⇒間に合わない
9日に必要なのに10日になってしまうと、間に合わないということですね。
唐人のおいど(とうじんのおいど)
唐(から)のけつ
⇒からけつ
徳島の天気(とくしまのてんき)
徳島(阿波)の天気(日が照る)
⇒慌てる
夏の蛤(なつのはまぐり)
身腐って貝腐らん
⇒観くさって買いくさらん
煮すぎたうどん(にすぎたうどん)
⇒箸にも棒にもかからない
塗り箸にとろろ(ぬりばしにとろろ)
とろろは掴みにくい
⇒一向にかからん(騙されない)
鼠六匹(ねずみろっぴき)
六チュウ
⇒夢中
ますだおかだの「岡田圭右」級のギャグっぽい雰囲気を醸し出している。
ネズミ六匹で六チュウ(夢中)、ワォ!
8月の槍(はちがつのやり)
盆のやり
⇒ぼんやり
流行らん問屋(はやらんとんや)
荷が着かぬ
⇒似つかない
貧乏な染物屋(びんぼうなそめものや)
紺がない
⇒根気がない
曲がった松の木(まがったまつのき)
柱にはならん
⇒走らにゃならん
見越しの松(みこしのまつ)
前栽(庭)に植える松の様式で、下枝から二番目の枝を塀を越えて外側にわざと出す様式。
塀を越える(閉口)
⇒閉口する(手に負えない、圧倒されて言葉に詰まる)
もしかしたら、「見越しの松」や「前栽(せんざい)」という言葉自体を知らない人もいるかも。
無地の羽織(むじのはおり)
一紋なし (一文無し)
⇒全く金を持っていない
餅のない汁粉(もちのないしるこ)
餡汁ばかり
⇒案じるばかり
焼き豆腐の心底(やきどうふのしんてい)
⇒たとえ火の中、水の中
安物のお稲荷さん(やすもののおいなりさん)
鳥居が無い
⇒とりえが無い
とりい⇒とりぃ⇒・・・⇒とりえ
バンザーイ!
幽霊の手討(ゆうれいのてうち)
死骸がない
⇒しがいがない、やりがいがない
夜明けの幽霊(よあけのゆうれい)
夜明けには幽霊がいない
⇒いつの間にやら立ち消え