今回の特集は、はじめてスマートフォンを買う前に抑(おさ)えておき
たい基礎知識(きそちしき)や選び方、さらに購入後(こうにゅうご)の注意点について取りあ
げます。
スマートフォンの基礎知識(きそちしき)
スマートフォンって何？
スマートフォン(smart phone、略(りゃく)してスマホ)は、携帯情報機器(けいたいじょうほうきき)
から発展(はってん)した、通話とインターネットができる新しい情報端末(じょうほうたんまつ)
です。スマートとは英語で、賢(かしこ)い、きびきびした、すっきりし
たという意味があり、直訳(ちょくやく)すれば賢(かしこ)くてすっぽり収(おさ)まる電話機です。
店頭に並(なら)んでいるスマートフォンを想像(そうぞう)すると言葉の意味が理解(りかい)できます。スマートフォンの代名詞(だいめいし)とも言うべきタッチパネル操作(そうさ)はまさにスマートそのものです。
それに対して、日本で普及(ふきゅう)してい従来型(じゅうらいがた)の携帯電話(けいたいでんわ)（フィー
チャーフォンといいます）は電話から発展(はってん)した情報機器(じょうほうきき)です。
この種の携帯電話(けいたいでんわ)から通話機能(つうわきのう)をとれば、所持する価値(かち)は半減(はんげん)します。さすがにiモードだけでは物足りないです。
スマートフォンの大きな特徴(とくちょう)は、アプリと呼(よ)ばれるソフトを組
み込(こ)むことで使い勝手を自分好みに向上できる点です。従来(じゅうらい)の
携帯電話(けいたいでんわ)でもアプリはありましたが数が少ないのに対して、スマートフォンには仕事からプライベートに役立つさまざまなアプリが無数に出回っています。
スマートフォンと従来(じゅうらい)の携帯電話(けいたいでんわ)を食事で例えるなら、スマー
トフォンは好きな料理（アプリ）を自由に選んでトレイ（本
体）に乗せるカフェテリア形式のランチであるのに対して、携(けい)
帯電話はご飯、おかず、味噌汁(みそしる)（基本機能(きほんきのう)）があらかじめ用意された定食屋の食事のようなものです。
スマートフォンの種類
スマートフォンは、大別すると次の3種類があります。
・ iPhone（アイフォーン）
アップルが開発した現在(げんざい)のスマートフォンの火付け役ともいう
べき携帯電話(けいたいでんわ)。指先でのタッチ操作(そうさ)とアプリを使った今のスマートフォンを形成したのはこのiPhoneが最初です。
長 所
画面のタッチ操作(そうさ)や軽快(けいかい)で、指の動きに合わせて思い通りに操作できる。
基本(きほん)システムの扱(あつか)いやすさは群(ぐん)を抜(ぬ)く。
アプリの数が豊富(ほうふ)で高機能(こうきのう)。
アップルのみが開発・販売(はんばい)し、一機種ないので選択(せんたく)に迷(まよ)わない。
ウイルス感染(かんせん)や不正アプリの対策(たいさく)がしっかりしている。
短 所
国内ではソフトバンクとauしか販売(はんばい)していない。NTTドコモでは取り扱(あつか)っていない。
ワンセグやおサイフケータイなど国内独自(こくないどくじ)のサービスは使えない。
定価(ていか)での販売(はんばい)で値引(ねび)きがきかない。
Android携帯(けいたい)
Googleが開発しているAndroid（アンドロイド）という基本(きほん)シス
テム(OS)を搭載(とうさい)した携帯電話(けいたいでんわ)で、さまざまなメーカーが製品(せいひん)を手がけています。
長 所
国内の携帯電話各社(けいたいでんわかくしゃ)が販売(はんばい)している。
ワンセグやおサイフケータイは対応(たいおう)している機種であれば利用
できる。
Googleが提供(ていきょう)しているサービスとの連携(れんけい)がよい。
短 所
画面表示(がめんひょうじ)やタッチパネルの操作性(そうさせい)がiPhoneと比(くら)べ劣(おと)る。感度の
悪い機種は操作(そうさ)にストレスを感じる。
基本設定(きほんせってい)が多く、パソコン並(な)みに振(ふ)り回されることが多い。
アプリの数はiPhoneと比(くら)べ少ない。
ウイルス感染(かんせん)や端末内(たんまつない)のデータ流出などセキュリティに弱い。
Androidは機種ごとに最新版(さいしんばん)を配布(はいふ)しなければならず、使ってい
る機種によっては更新(こうしん)が打ち切られる場合もある。
・ Blackberry
Blackbeery（ブラックベリー）は、カナダのリサーチ・イン・
モーションという会社が開発した携帯電話(けいたいでんわ)で、iPhoneが登場す
るまではこのBlackberryがスマートフォンの代表格(だいひょうかく)でした。主
に、幹部(かんぶ)クラスのビジネスマン向けとして欧米(おうべい)で広く使われて
います。マイナーな機種ですが、タッチパネル搭載(とうさい)の機種が最
近登場し、日本でも注目され始めています。ポルシェデザイン
とのコラボモデルも登場し、携帯電話(けいたいでんわ)ファンの間で話題を呼(こ)ん
でいます。
長 所
キーボードが付いているので、メールを打ちやすい。このキー
ボードがBlackberryの最大の特徴(とくちょう)。
独自(どくじ)の暗号化通信をしているので情報(じょうほう)のやり取りをする上で信
頼性(らいせい)が高い。ビジネスマンに愛用されている理由はここにあり
ます。
短 所
国内で取り扱(あつか)っているのはNTTドコモのみ。
日本語版(にほんごばん)のアプリが少ない。
画面が小さいのでネットサーフィンには不向き。
開発会社の経営(けいえい)に不安があり、今後の先行きが不透明(ふとうめい)。
● iPhoneとAndroid携帯(けいたい)はどちらが優(すぐ)れている？
総合的(そうごうてき)な性能(せいのう)と使いやすさからいえば、圧倒的(あっとうてき)にiPhoneが上で
す。カタログではわからない指先で操作(そうさ)したときの反応(はんのう)の良さ
や、画面を縦(たて)から横に変えたときの反転表示(はんてんひょうじ)のなめらかさな
ど、違和感(いわかん)のない使い心地はiPhoneの素晴(すば)らしい点です。
しかしiPhoneは、あくまでアップル独自(どくじ)の世界観を打ち出して
送り出しています。そのため、日本国内でしか利用されていな
いサービスは一切取り入れることはありません。つまり、ワン
セグやおサイフケータイはiPhoneでは使えません。
iPhoneは性能(せいのう)はよいものの、日本独自(にほんどくじ)のサービスを利用する上
では難(なん)があることをふまえておいてください。
＜スマートフォンの選び方＞
スマートフォンを選ぶ際(さい)は、系統立(けいとうだ)てて整理しながら消去法で
選別していくと絞(しぼ)り込(こ)めます。
自分にあったスマホを選ぶときの機種選びの方針(ほうしん)を紹介(しょうかい)しま
す。なお、BlackberryはNTTドコモしか扱(あつか)っていない機種で、こ
の機種を買いたい人にとっては他を比較(ひかく)する要素(ようそ)がないため対
象から外します。
○ iPhoneにするかAndroid携帯(けいたい)にするか？
スマートフォンを選ぶときの初めの一歩は、iPhoneにするか
Android携帯(けいたい)にするを決めると方向性(ほうこうせい)が見えてきます。
iPhoneを買おうと決めたときは、取り扱(あつか)っている携帯電話会社(けいたいでんわがいしゃ)
を選びます。
iPhoneはソフトバンクかauのどちらかの携帯電話会社(けいたいでんわがいしゃ)しか販売(はんばい)
していません。つながりやすさで選ぶならau、料金で選ぶなら
ソフトバンクがおすすめです。ただし、ソフトバンクは携帯電(けいたいでん)
話の周波数帯（プラチナバンド）を新たに獲得(かくとく)したので、今後
の設備拡充(せつびかくじゅう)で回線品質(かいせんひんしつ)の改善(かいぜん)が見込(みこ)まれています。
NTTドコモからiPhoneを販売(はんばい)してほしいという消費者からの要望
はあるものの、現在(げんざい)のところ実現(じつげん)の可能性(かのうせい)は期待できません。
どうしてもドコモの回線でiPhoneを使いたい人は海外で売られ
ているSIMフリー版(はん)を購入(こうにゅう)する方法があります。
SIMフリー版(はん)のiPhoneは国内需要(こくないじゅよう)が高まり、大手家電量販店(おおてかでんりょうはんてん)でも
取り扱(あつか)う店が出始めました。店頭のほか、オンラインショップ
でも販売(はんばい)しています。
iPhone 4S SIMフリー版(はん) （LAOX e SHOP） アマゾンにも同店の
ネットショップがあります。
iPhoneのSIMフリー版(はん)はAppleの正規品(せいきひん)ですが取り寄(よ)せは国内の
正規(せいき)ルートではないため、入手の際(さい)はリスクを伴(ともな)います。購入(こうにゅう)
後の設定(せってい)も自分で行わなければならないため、はじめてスマー
トフォンを購入(こうにゅう)する人にはお勧(すす)めしません。
○ ワンセグやおサイフケータイは必要か
iPhoneを購入対象(こうにゅうたいしょう)から外せば、Andoroid携帯(けいたい)から機種を選びま
す。そのときに選定材料となるのが、従来(じゅうらい)の携帯電話(けいたいでんわ)で使える
機能(きのう)が備(そな)わっているかです。
搭載機能(とうさいきのう)として欠かせないのが、ワンセグやおサイフケータ
イ、赤外線、防水(ぼうすい)・防塵機能(ぼうじんきのう)です。これらの機能(きのう)をすべて詰(つ)め
込(こ)んだスマートフォンを「全部入りスマホ」といいます。
全部入りスマホは高機能(こうきのう)であるため価格(かかく)も高めです。予算を考
慮(りょ)して購入(こうにゅう)を検討(けんとう)してください。
○ 高速データ通信機能(つうしんきのう)が必要か
スマートフォンはウェブサイトを閲覧(えつらん)したり、動画を見るのに
も大変便利です。その際(さい)、高速な通信回線があれば快適(かいてき)です。
外出先でインターネットをフル活用することを考えているので
あれば、NTTドコモのXiなど次世代高速回線に対応(たいおう)した機種を選
ぶのが最適(さいてき)です。
ただし、高速通信に対応(たいおう)したスマートフォンは最新の性能(せいのう)を搭(とう)
載(さい)した機種が多く、値段(ねだん)も高めです。また、高速回線を利用す
るには専用(せんよう)の料金プランに加入しなければなりません。携帯各(けいたいかく)
社は割引(わりびき)プランやキャンペーンを実施(じっし)していますが、それでも
月額(げつがく)のデータ通信費はかさみますのであらかじめ念頭に入れて
おいてください。
○ iPhoneも高性能(こうせいのう)スマホもいらない
高機能(こうきのう)で高価(こうか)なスマートフォンを手に入れても宝(たから)の持ち腐(くさ)れと
いう人は、残りのラインアップから選ぶことになります。
特定の機能(きのう)を求めないのであれば、一つ前に発売された機種を
選ぶのもよいです。値下(ねさ)げされて販売(はんばい)しているので、安価(あんか)に購(こう)
入できます。
最近はスマートフォンの数が増(ふ)え、発売されたばかりのもので
も人気のない機種は破格値(はかくあたい)で売られています。まずはお試しで
スマートフォンを使ってみたいと考えている人は、この手の値(あたい)
崩(くず)れ品を検討(けんとう)する方法もあります。ただし、後述(こうじゅつ)するセキュリ
ティ対策(たいさく)で不安があり、状況(じょうきょう)によっては買い替(か)えサイクルが早
まるかもしれません。
＜購入後(こうにゅうご)の注意点＞
念願のスマホデビューを果たせば、どこにいてもスマートフォ
ンを使いたくなります。しかし、従来(じゅうらい)の携帯電話(けいたいでんわ)では気にかけ
なくてもよかった注意点があります。
○ バッテリーの消費が早い
スマートフォンは小型のパソコンに匹敵(ひってき)する電子機器のため、
電力を大量に消費します。従来(じゅうらい)の携帯電話(けいたいでんわ)と比(くら)べてバッテリの
持続時間が短いため、使い方によっては一日使っただけでバッ
テリが底をつきます。帰宅(きたく)したら充電(じゅうでん)を忘(わす)れずに心がけてくだ
さい。スマートフォン専用(せんよう)の予備(よび)バッテリーも市販(しはん)されていま
すので、ヘビーユーザーになったときは調達しておくと便利で
す。
○ 月額(げつがく)の通信費がかさむ
スマートフォンは従来(じゅうらい)の携帯電話(けいたいでんわ)よりもデータ通信を大量に行
います。上限(じょうげん)つき従量制(じゅうりょうせい)のパケット定額(ていがく)プランで何気なく外出
先でネットを利用しただけでも、すぐにパケット上限額(じょうげんがく)に達し
ます。通話料金とあわせると毎月の支払額(しはらいがく)が増(ふ)えることを覚悟(かくご)
しておいてください。購入時(こうにゅうじ)はフラットプランでの契約(けいやく)をおす
すめします。
参考：携帯端末(けいたいたんまつ)パケット代節約虎(だいせつやくとら)の巻(かん)
○ Andoroid携帯(けいたい)はウイルスの対策(たいさく)を
Andoroid携帯(けいたい)は、個人情報(こじんじょうほう)をねらったウイルスプログラムが横
行しており、ウイルス感染(かんせん)の危険(きけん)と隣(とな)り合わせな面をもってい
ます。携帯電話会社(けいたいでんわがいしゃ)によっては無料のセキュリティプログラム
を用意していますので、必ずインストールするようにしてくだ
さい。また、Androidのシステム更新(こうしん)の通知が来たときは手順に
従(したが)って速やかに作業するようにしてください。
参考：どうする？スマホのウイルス対策(たいさく)
なお、Androidのシステムは機種ごとに用意しなければならない
ため、機種によっては更新(こうしん)プログラムの配布(はいふ)を打ち切られる場
合があります。特に売れない機種は更新(こうしん)プログラムの配布(はいふ)が
早々(そうそう)に終了(しゅうりょう)する場合もありますのでご注意ください。
○ 置き忘(わす)れに注意
スマートフォンは住所録や電話帳だけなく、アプリで使用して
いるネットサービスのアカウント情報(じょうほう)や、人によっては守秘義(しゅひぎ)
務(つとむ)のある書類ファイルも保存(ほぞん)しています。うっかりどこかに置
き忘(わす)れたりすると、第三者に見られたりするだけでなく、盗難(とうなん)
されればなりすましによる悪用もされかねません。
スマートフォンを持ち歩くときは、使用時にパスワードを入力
する設定(せってい)にしたり、常(つね)に身につけておく習慣(しゅうかん)をつけるのが得策(とくさく)
です、
スマートフォンを身につけておくための便利なグッズも販売(はんばい)さ
れています。
スマートフォン対応(たいおう) ハンドメイド・ソフトレザー マルチケー
ス
iPhone4用 ネックストラップ付本革(つきほんがわ)レザーケース
DUCT イタリアンレザー phone & camera かぶせフタ マル
チポーチ
○ 歩きながらの使用は危険(きけん)
最近社会問題となっているのが、路上で歩きながらのスマート
フォン操作(そうさ)です。従来(じゅうらい)の携帯電話(けいたいでんわ)よりも端末操作(たんまつそうさ)や画面の閲覧(えつらん)
に神経(しんけい)を集中するため周囲への注意がおろそかになり、人にぶ
つかるなどのトラブルや事故(じこ)を引き起こします。
スマートフォンを使用するときは歩きながらの操作(そうさ)はせず、立
ち止まって隅(すみ)に寄(よ)るなどして他人の往来(おうらい)の邪魔(じゃま)にならないよう
心がけてください。
○ 適度(てきど)に目を休める
スマートフォンは小さい画面の中に表示(ひょうじ)されている情報(じょうほう)が多い
せいもあり目が疲(つか)れます。目に負担(ふたん)をかけると視力(しりょく)の低下にも
つながりますので、長時間の使用は控(ひか)えて適度(てきど)に目を休めるこ
とをすすめます。
スマートフォンを実際(じっさい)に購入(こうにゅう)する際(さい)は、自分自身で実物を触(さわ)っ
てから決めるのが最良です。安い買い物ではありませんので、
販売店(はんばいてん)の店員と相談しながら自分に最適(さいてき)な一台を手に入れてく
ださい。
