ＢＡＳＡＲＡと史実の前田慶次と違いを詳しく教えてください。

前田慶次の生まれ年には諸説ありますが、根拠がしっかりしたものでは１５
３３年生まれとされます。おじいちゃんキャラの北条氏政、島津義弘よりも年
上になります。登場人物の中で年上なのは、毛利元就、今川義元、武田
信玄、上杉謙信、ザビー（ザビエル）、松永久秀くらいでしょうか。

派手な格好は実際にしていた可能性はあります。猿は連れていなかったと
思います。朝鮮人を含め数人の従者がついていましたので、一人で牢人生
活を送っていたわけではありません。戦場で目立つ赤い甲冑などを見ても、
それなりの武勇はあったと考えてもいいと思います。
ただし、慶次は武将と言うよりは学者です。BASARAでは風流な部分のみ
が強調されていますが、連歌や和歌、漢詩など学問を好み、公家や細川幽
斎などの武家文人と交わりました。源氏物語の講釈を得意としました。

関ヶ原の戦いの翌年に書いたとされる『前田慶次道中日記』では、寒くて眠れ
ないと書いたり、年取ったわが身を嘆く歌を載せています。繊細なところは『花の
慶次』の豪放磊落なイメージよりはBASARAに近いかもしれません。

他の登場人物との関係ですが、上杉謙信には仕えていません。慶次が仕官
したのは謙信の養子の景勝です。無敵の直江兼続と学問を通じた親交があ
り、そのつてで仕官したと考えられます。
豊臣秀吉との関係は史料上は残っていませんので、親友ではないでしょう。
ただ、『前田慶次道中日記』では「洪水で悩んでいた川に太閤が立派な橋を
つくったのでみなが喜んだ」と書いているので、秀吉に対して肯定的な感情を持
っていたと見ることもできるでしょう。
『日記』では、実際に面識があったかは不明ですが石田三成にも触れており、
死しても亡霊として人々の噂のタネになっているとは「ただの人ではないなぁ」と
言っています。

利家やまつには養父ともども荒子城を追われた身ですので、２人に対してどの
ような感情を抱いていたかは不明です。一度は仕官しますが、数年で牢人とな
ります。なお、利家とまつ夫婦にあこがれていますが、慶次も利家の兄の娘と結
婚しており、１男５女（または３女）をもうけています。
愛した女を大事にしろ的なことを言うキャラのようですが、慶次は妻子を捨てて
前田家を去っています。