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小論文 書き方の誤解

学校
小論文や TOEFL Writing 対策で、よくある誤解の一つに、「結論を序論に書く」というものがあります。そのため、「何を言いたいのかわからない」「日本人の書いた英語がわかりづらい」ということになります。本当に「結論を序論に書く」ことで小論文がよくなるのでしょうか?
私自身の経験では、序論に結論を書く人はこういう小論文になりやすいと思います。
  • 私は〇〇に反対だ。
    理由は 1… 2… 3…。
    たしかに、こういう反対意見もある。
    だから、私は〇〇に反対だ。
これは、いかにも間の抜けた印象が拭えません。大きな誤解は「結論」という言葉にあります。序論の部分で「主張」や「仮説」を述べることは悪くはありません。重要なのは、「主張」と「結論」は違うということを理解することです。こういう小論文を書く人には、すくなくとも結論と同じようなスタイルでは、序論で「主張」を書かないことを提案します。
序論の一般的な説明は、以下の通りです。

ポイント

  • 読者の関心を引く
    より広いテーマから始める
    小論文のテーマを述べる
などとあります。また、逆に「今から、〜について証明する。」などの明らかすぎることは書かない方がいいというアドバイスもあります。
なかには、序論に「主張」を書くべきだという意見もあります。ただし、その場合は、

ポイント

  • 序論の一文目は読者を引きつける
    二文目以降でトピックを紹介する
    序論の最後に強い主張を述べる
のように、序論の中でも最後に書く方がよいようです。
また、小論文を書く前の設計段階で、すでに結論を決めておく必要があります。これも「結論を先に書く」という誤解の一つかもしれません。
英語圏では、thesis, focus, your opinion を序論に書く、という指導がなされますが、けっして conclusion を introduction に書け、とは言いません。「結論を先(序論)に書け」という意見の多くは、用語が適切でないだけかもしれません。なお、英語圏で紹介されている TOEFL writing の模範解答に、結論が序論に書かれていることはあまりありません。ましてや、”I agree with the opinion.” で始まる解答は見たことがありません。
序論に書くのは、「結論」ではありません。「主張」や「テーマ」は書いてもよいのですが、それよりも重要なのが、読者の好奇心を刺激することです。
参考にしたサイト
まず、起承転結は漢詩の型です。たまたま起承転結が当てはまることもありますが、「小論文を漢詩の型で書かなければいけないという」とまで断言するのは無茶というものでしょう。
解答例 (a)
  •  私は、原子力発電の使用には反対である。理由は3つある。
    まず、第一にリスクが大きすぎるからである。 チェルノブイリの事故に見るように、一度事故が起きてしまえば、その影響は広範囲かつ長期的になる。 とくに地震の多い我が国では、原子力発電所は適している土地は少ない。 次に、原子力発電は、炉の特性から停止が難しいため、需要の増減の調整能力がきわめて弱い。 最後に、被爆国としての責任がある。 我が国は、世界で唯一の戦争による被爆国として、非核をより徹底すべきである。
    確かに、資源の乏しい我が国では、資源を繰り返し使える原子力は魅力である。 また、経済性は他の発電に比べると高い。 化石燃料を燃やさず、二酸化炭素を増やすこともないため、地球温暖化の緩和にも寄与する。
    こういった利点は確かにあるが、欠点を考えると、原子力は使うべきではない。 よって、原子力発電の使用には反対である。
さて、この論述のどこがいけないのでしょうか。 一見すると、譲歩をすることで自説がさらに説得力を増しているように見受けられます。 どこが悪いかわからない方は、下の例と見比べてみてください。
解答例 (b)
  •  私は、原子力発電の使用には賛成である。理由は3つある。
    第一に、資源の乏しい我が国では、資源を繰り返し使える原子力は魅力である。 また、経済性は他の発電に比べると高い。 化石燃料を燃やさず、二酸化炭素を増やすこともないため、地球温暖化の緩和にも寄与する。
    確かに、原子力発電のリスクが大きい。 チェルノブイリの事故に見るように、一度事故が起きてしまえば、その影響は広範囲かつ長期的になる。 とくに地震の多い我が国では、原子力発電所は適している土地は少ない。 次に、原子力発電は、炉の特性から停止が難しいため、需要の増減の調整能力がきわめて弱い。 さらに、被爆国としての責任もある。
    こういった利点を考えると、原子力を積極的に使うべきである。 よって、原子力発電の使用に賛成である。 欠点は確かにあるが、これを解決していくことが重要なのは言うまでもない。
お分かりでしょうか。 型通りに、自分の主張と反対の方を「確かに」と譲歩して並べても、譲歩しただけで議論したことにはなっていないのです。 どちらの例も、利点と欠点を並べて終わってしまっているのです。 こういった論述をいくら続けても、「小論文」にはなりません。


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